『君に届け』9巻 「恋に鈍い主人公」を支える友情に支えられた王道話

基本的に主人公というものは恋愛に対して鈍感なものだ。

モテモテで周りから見れば明らかなのだけれどなぜか本人は気付かない、というネタにも使われる昔からのお約束。

周りはたいてい本人たちの問題、とスルーしたり笑ったりで、本気で突っ込んできたりはしません。

君に届け』9巻、ここに切り込んできました。




主人公の爽子は、好きな男の子、風早の「(爽子を皆と)平等になんて接したつもりはない」という発言を「今まで気を遣わせていた」ととり、放課後の体育館裏で一人泣いてしまいます。


そこへやってきた爽子の友達二人。その内の一人、ちづは爽子の話を聞き、勘違いを続ける爽子に怒って「気に入らないな、爽子」と切りだします。


「あんたいつまで自分のこと見下げて生きていくつもり」

「鈍さに慣れるな!!」



また一人校舎に帰って来た爽子は、風早を好きで一度彼にふられている少女、くるみと出会います。
同じ風早を好きな爽子をかつてライバルと表現したことのある彼女に、爽子は風早に「ふられた」と伝えます。

それを聞いたくるみは

「何ソレ?まさか仲間だとでも思ってるの?一緒にしないで」

「爽子ちゃんなんかライバルじゃないよ!」


本当は風早が自分のことを好きだと分からず、くるみの発言に困惑し真意を問う爽子にくるみは言います。

「闘ってないからでしょ」

「風早を傷つけるからでしょ!」

「鈍感だからでしょ!!」



読者の気持ちを代弁するような二人。

二人に言われ自分が「何かを間違えている」と気づいた爽子。

他の友達にも助けられ、ついに自分の気持ちを見つけます。


「風早くんが誰を好きでももういい!」


自分の気持ちに向き合うことを決めた爽子は風早のところへ走り出す。



伝えたい

私の気持ち 全部

・・・届いてほしい


届け 届け 届け




最後の自分の気持ちに気づいた爽子が走り出す場面。
爽子が、そしてその思いが走る描写をメインに置きながら、さりげなく友達のアシストが見られるのがすばらしい。


君に届け』はとても純粋で王道な「当たり前」の話。

でも、投げたボールが相手に届くような当たり前のことも、実は周りの誰かが助けてくれているから「当たり前」なのかもしれません。


恋に走る黒髪ロング美少女ばんざい。


君に届け 9 (マーガレットコミックス)

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