究極の黒髪ロング「高城千砂」

世に黒髪ロング多かれど本当にレベルの高い黒髪ロングは少ない。

個人的にはと黒髪ロングと「髪を染めず長く伸ばした人」は異なると考えているので、後者は広義の黒髪ロングと呼ぶ。狭義の黒髪ロングの条件は諸説あるが私としては圧倒的美しさは当然としてもう一つは「力」だと考えている。

その説明も兼ね、そろそろ当ブログのおすすめする最強の黒髪ロングについて語ろうかと思う。
*本編を呼んだとこのない人にはやや分かりづらい内容で、かつネタバレも含みます。


羊のうた 1 (幻冬舎コミックス漫画文庫 と 1-1)

羊のうた 1 (幻冬舎コミックス漫画文庫 と 1-1)


高城千砂(『羊のうた』)

冬目景の生み出した史上最強の黒髪ロング。将来的にも私の中でこの人を超える黒髪ロングは現れないだろう。

高城千砂という女性を語る言葉は多い。それは黒髪ロングであったり姉であったり和服美人であったり様々だ。
掲載雑誌はマイナーで作品も決してメジャーとは言えないうえ、最終巻発売が2003年という時の流れにも関わらず今でも根強い人気がある(参照:2006姉大賞)。

  • 圧倒的美しさ

では冒頭で黒髪ロングの条件として挙げた圧倒的美しさ、まずは外面の美しさについて語りたい。



美大出身の作者・冬目景が描く美しく流れる黒髪。現実でも綺麗な髪の人が少ないのと同様、綺麗な黒髪を描ける漫画家も少ない。私の知る限りその中でも冬目景は最も美しい黒髪を描ける人だ。

そして先日もふれた泣きボクロ。ホクロというまた嘘くさくないのが良い。何かワンポイントつけるのにアクセサリーを使えば簡単だが、『羊のうた』はリアルさを目指していたためか至るところで漫画的表現を避けている節がある。作品単体のレビューは後に書きたいが、人の感情を丁寧に描き切ったドラマのような作品だ。


服装は家では和服、外ではセーラーという最強装備。どちらかと言えば私はセーラーは黒の方が好みなのに、なぜか千砂はこれで完成されている気がする。美しい黒髪が強調されるからだろうか。


そして内面の美しさ。千砂は「強さ」と「弱さ」を併せもった非常に魅力的な女性だ。

    • 「強さ」

千砂は外には徹底して威圧的な態度をとる。人に弱さを見せようとしない。

クラスメートが声をかけても「あたしにかまわないで」と突き放し、幼い頃からの付き合いである水無瀬の助けも受け入れようとしない。江藤くんの彼女から始まって育ての親である江田のおばさん、風見さん、そして正ヒロインの八重樫までもが千砂の前に敗れ去る。作中で千砂は決して負けなかった。それは千砂にとって生きるための戦いなのだから勝ち続けた孤高の勝利だ。そして最後、千砂は本当に勝たなければならない相手、父にも勝利する。

    • 「弱さ」

生まれながらに身体が弱い千砂。さらに病のため服用する薬の副作用で段々と衰弱していく。身体的に千砂はとても弱い。
だが精神的な弱さは人に見せようとしない。弱さは見せるのは内だけ。内とは内であり家だ。家族、血のつながりのある者、もっと言えば一砂(主人公、千砂の弟)だけだ。一砂にだけはとても優しくふるう。しかし実は千砂が他人とかかわろうとしないのも他人を巻き込みたくないという彼女なりの優しさからきている(実際水無瀬にはそう言っている)。



あまりに強く、同時にあまりに弱い千砂。今でいうギャップか。

    • 関係性

一砂にとって千砂は姉であり母であり恋人である。いや、恋人という言葉ではこの二人の関係を呼ぶにふさわしくない。千砂と一砂は世界に二人だけの存在であり、誰もこの二人の間には入ってこれないのだ。正ヒロインである八重樫もこの物語の中では千砂に勝つことができなかったのだから。まさに最強にして最弱である。


一砂の育ての親である江田のおばさんは千砂をこう語る。

あの娘はただ綺麗な女の子じゃない・・・・・・人をひき付けて破滅に導くような・・・・・・・・・・・・そんな危うさを持っている娘よ(『羊のうた』7巻46話)


羊のうた』全編は千砂の物語だ。計算され尽くしたように完成された作品だが、その実登場人物も展開もすべて千砂という女性が動かしていた。千砂は一砂の周りの人々と戦い、勝ち、一砂と共に生きた。千砂のために人が動き、人が動くと物語も動く。つまり千砂が物語を動かしていたことになる。


まるで物語の方が千砂に奉仕しているかのようだ。あまり語りすぎるとネタベレがすぎるのでこのへんに止めておくが、これが私が黒髪ロングの条件として挙げた「力」、物語の支配力だ。そして「人をひき付けて破滅に導くような」支配力をもつヒロインが高城千砂である。


文庫版の出た嬉しさだけで一気に書きあげたので、原作未読の方に優しくないという、黒髪ロング語りとしては失敗でした・・・。だがしかし高城千砂という究極の黒髪ロングを知らない方がいればこの機会にぜひ読んでおくことをおすすめします。

  • まとめ

千砂さん好き好き大好き超愛してる。

好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)

好き好き大好き超愛してる。 (講談社文庫)