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オタク産業は地下に潜れるか?

雑記

目立つようなことをして情報サイトに取り上げてもらい、売り上げを伸ばす・・・こういうビジネスモデルが確立してしまった。このビジネスモデルは確かに売り上げ伸ばしますが、広く知れ渡るので、規制を促すことになった。
オタク産業はもっとアンダーグラウンドに隠れるべきだと思います。知名度で無理矢理売り上げ伸ばそうとする人たちが都条例を生み出したと言っても過言じゃないと思います。オタクは恥ずかしい。そう思うべきです。こそこそ隠れてやる趣味だと思います。でないと描き手も買い手も首を絞めることになりますから・・・。
その点女性側は上手くやっていると思います。キャラ名やタイトルを隠語で隠し、検索避けをし、アンダーグラウンドに潜んでいます。彼女らは知っているのです。目立っちゃいけないことを。大阪がBL規制に乗り出した原因は男性側だと思いますよ。
男性側もそろそろアンダーグラウンドに潜む努力をすべきではないでしょうか。
「漫画も売れないこの時代、売るための努力が必要とされている」コメント欄より)


ちょっと興味深いコメントをいただいたため記事にて返信という形をとらせていただきました。実は夢だったんですよね。コメントから記事を書くのって。なんか双方向で人気ブログっぽい。


最初に先の記事とコメントとでは論点の異なることを明確にしておきます。

私は先の記事で「売れないより売れた方がいい」を前提とした上で、「現状のシステム下でどう売るか?売る気があるなら売るための努力が必要である」と言いました。まずこの前提は必ずしも真ではありません。

村上春樹さんはベストセラー小説である自著『ノルウェイの森』に対し、「売れ始めは嬉しかったが段々数字だけが独り歩きしているようで恐くなってきた」ようなことをどこかで語っていました(うろ覚え)。「生活に支障のない程度に売れれば十分、大ヒットなんてしなくていい」という人もいると思います。しかし現実、生活に支障のある程度に売れない人もいるわけで、そういう人にとっては「売れなくていい」はぜいたくな悩みなので、ここで外して考えました。

それを理解した上で、私は現在のシステムの善悪は問題としていません。個人の力でシステムを変えるのは非常に難しい。だから現状は所与とした上で、その中でどう自分の目的(売る)を達成するか、と考えています。

また漫画はコメントで言及されているオタク産業ばかりではありません。先の記事で私が紹介したpixivやニコニコ動画での宣伝や、現在ネット上で行われているような漫画紹介で買うのは「オタク」でしょうが、それだけが漫画ではありません。私たちは電車で漫画雑誌読んでるサラリーマンを見てオタクだとは思いません。漫画を買いに書店に向かう行為自体は至って普通のことです。もちろん同じ漫画を8冊も9冊も買うやつはオタクかもしれませんが。

そして帯に「ニコニコ動画で91万再生」「アニメ化決定」と「オタク」を誘う文句を書くことだって、「よく分からないけどすごい」というレベルで一般層への購買意欲も誘います。「売る努力」には今回の規制問題と離れた「安全な」方法も含んでいます。


と……ここまでは先の記事の補足で、コメント返信はここから。


目立つようなことをして情報サイトに取り上げてもらい、売り上げを伸ばす・・・こういうビジネスモデルが確立してしまった。このビジネスモデルは確かに売り上げ伸ばしますが、広く知れ渡るので、規制を促すことになった。
オタク産業はもっとアンダーグラウンドに隠れるべきだと思います。知名度で無理矢理売り上げ伸ばそうとする人たちが都条例を生み出したと言っても過言じゃないと思います。オタクは恥ずかしい。そう思うべきです。こそこそ隠れてやる趣味だと思います。でないと描き手も買い手も首を絞めることになりますから・・・。


アンダーグラウンドに隠れる(=地下に潜る)というと、記憶に新しい18禁凌辱ゲーム規制から始まった表現規制問題、それに対しての小説家・佐藤亜紀さんの言葉が思い出されます。佐藤亜紀さんは凌辱ゲー愛好者に対し「国に守ってもらおうと思うな。地下に潜れ」と言います。

ちなみになんてリンクはらないかと言うと、私のようなくだらないブログ書きの文章がトラバ辿られて万が一にも佐藤亜紀さんに読まれてしまったらと思うとガクブルだからです。もはや余談過ぎますがツイッターでフォローしないのもそのためです。私は佐藤亜紀さん数冊がんばって読んで「よく分からないけどすごい!」程度の読者ですので。


話が横道に逸れました。ここでは「地下に潜れば解決するか?」を考えてみたいと思います。地下に潜ることの是非は度外視します。コメント主さんの言うようにオタク産業が地下に潜れば上手くいくのか?上手くいくと仮定してみましょう。

まず「上手くいく」とはどういうことか?それは今回の都条例のような規制問題が起こらず安全に売ることのできる状況が維持されることです。つまり上手くいくためには、「規制の起こらない長期利益>知名度を高めて得られる短期利益」という条件が必要です。ネットで大量に画像アップすれば売れて短期的には良いけれど、それが規制を促し長期的には産業全体が大きな不利益を被るということです。

ここに「全員が生活に支障のない程度に売れる」という条件を加えれば完璧のように思えます。ですが、ちょっと待ってください。忘れてはならないのはどんなに長期利益が大きくとも、「短期利益自体は失われたわけではない、現在の売れるシステムがそれを証明している」ことです。

それを理解できなかったり分かってはいても我慢し切れなかったりで、目先の利益に走る者もいます。少なくとも一人は。そして、一人いればこの安定世界は崩壊します。

この一人(裏切り者)は莫大な利益を得ます。現状が既に地上に出れば売れることを証明していますが、さらにこの仮定の下では裏切り者と同じように知名度を広げて売ろうとしている「競争相手」がいません。つまり裏切り者の利益は現状より大きいんです。その利益を得た裏切り者がこれを止めるわけがない。
そして裏切り者の「成功」を後ろで見ていた者の中にも我慢できない者は現れるでしょう。さらに彼らの成功を後ろで見た何人かは……と続くと、現状と変わらなくなってしまい、長期利益は失われ(=規制を促し)ます。

この「裏切り者が出ないようにすればいいじゃん?そのために環境整備しようぜ」てのは山岸俊男先生が10年以上がんばって考えてくれていますが未だに解決されていないのをみると、少なくとも現段階では無理と断言してよいと思います。


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つまり知名度を高めれば売れる以上、コメント主さんの言うように「地下に潜る」ことが如何に正しくとも、如何に長期利益があろうとも、無理なんです。今更地下に潜ろうとしても遅いんです。

その点女性側は上手くやっていると思います。キャラ名やタイトルを隠語で隠し、検索避けをし、アンダーグラウンドに潜んでいます。彼女らは知っているのです。目立っちゃいけないことを。大阪がBL規制に乗り出した原因は男性側だと思いますよ。


では女性側はどうして「地下に潜る」が成功しているか?

これは私には分かりません。少女漫画なら少しは分かりますが、規制の向くような過激表現のある世界は全く知りませんので、成功しているかも分かりません。そもそも地下に潜っているかも分かりません。女性側は男性側にない事情があるのかもしれないし、誰も短期利益を知らないだけなのかもしれない。それは私には分かりません。

しかし繰り返して言わせていただければ、少なくとも知名度を広げることで売上を伸ばせる事実を知ってしまった男性側が、今になって地下に潜ろうというのは無理です。よって「現状の下でどう売るか?」を考えたのが先の記事となります。