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『惑星のさみだれ』9巻 風巻が太陽に出した「宿題」とその「答え」

漫画

以下の文章は『惑星のさみだれ』9巻のネタバレを含みまくります。


惑星のさみだれ 9 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 9 (ヤングキングコミックス)

太陽「あんた一体だれの味方だ なぜぼくのことをバラさない」
風巻「教えてあげない 宿題は自分で解くもんだよ」
(『惑星のさみだれ』5巻 第30話より)



惑星のさみだれ 風巻さんが茜に出した「宿題」の答えとは? - Togetterまとめ


昨夜、「宿題」が何を意味していたか?をめぐって論争がありました。

その時点での私は、宿題は「風巻さんが太陽が最後には騎士側につくと信じているのはなぜ?」で、答えは「騎士たちは太陽を信じてるから太陽も騎士たちを信じ返す」でした。あまり論理的な解答ではありませんが漠然とこう考えいて、皆さんの論争を見て改めて考え直すことにしました。


さて、この論争は、そもそも「宿題」とは何か?から意見が食い違っています。こういう場合は「答え」から考えるのが(私の中では)常套手段。

  • 「答え」とは?

風巻「そうか… それがキミの宿題の答えか 茜くん」
(『惑星のさみだれ』9巻第58話より)

アニムスが太陽に貸していた能力の返還を要求→太陽はこれを拒絶→太陽が「時空清流」で騎士たちのダメージを回復……という流れでのセリフです。


ここで「宿題の答え」とは何か?を考える前に、一つ押さえるべきポイントがあります。風巻さんが「キミの宿題」と言っているところです。

「キミの宿題」という表現は、「宿題」が風巻の出したものでなく、太陽が抱えている問題であることを示唆します。「宿題」は風巻や他の騎士のことではなく、あくまで太陽自身のものなのです。もちろん「キミの」が「宿題」でなく「答え」にかかっているならこれは考え過ぎですが、頭に留める必要はあります。


さて、戻りましょう。直後に「答え」を出した太陽とアニムスの会話があります。ここから「答え」が何か手掛かりが得られそうです。

アニムス「子供だから最後はビビってぼくに付くかと思ってたけど 仲良くしすぎたかな?ぼくが怖くなくなっちゃった?」
太陽「…怖いよ でも…欲しいものが…できた気がするんだ」
アニムス「なにそれ」
太陽「わからない …でも」「でも あるんだ!!」
(『惑星のさみだれ』9巻第58話より)

「答え」として太陽のとった行動は、アニムスの要求の拒絶と騎士の回復の2つ。「答え」を、アニムスを拒絶し騎士側に立つことそのものととるか、その行動理念ととるか……これはとりあえず保留します。

この行動をとった理由を、太陽は「なにかわからないけど、でも欲しいものができた気がする」と言っています。ここまでで「答え」は分かりませんが、「答え」としての行動をとった理由は分かりました。

    • 「答え」としての行動をとった理由(「答え」に近いもの)

「なにかわからないけど、でも欲しいものができた気がする」


ここで太陽自身も理解していない「欲しいもの」とは何でしょうか?それを考えるに当たって更に遡ります。「欲しいものができた」のはなぜか?

  • 茜太陽という少年

第6巻36話では過去話で、太陽とロキとの出会いが明かされます。その家庭の事情から太陽は、毎朝の日課でミサイルが落ちてきて全て壊すことを祈り、金もいらない、好きな食べものもない、子どもに育っています。彼は、絶望を確信すれば見えるビスケットハンマーが、ロキに言われるまでもなく見えてしまいます。願い事も使いません。世界に対しなんら望むものがありません。というか、世界の破滅が彼の望みです。

その太陽に、「欲しいものができた」のはなぜか?


それは彼が成長したからです。冷めた関係の家族しか知らない太陽は、夕日や三日月、そして他の騎士たちと関わるうちに成長しています。ラーメンが好きになるなどありましたが、大きな転機は7巻。11体目との交流・10体目との戦い、勝利です。

雪待「生きたいって言え!!」
太陽「生きてたっていいことなんかない!!」
雪待「ある ないなら作れ」
(『惑星のさみだれ』第7巻46話より)


「生きてたっていいことなんかない」と言う太陽に、雪待ははっきり「ある」。これは太陽がアニムスに言った「でも ある!!」と協和します。

さらに「ないなら作れ」と言う雪待。「作れ」と「(欲しいものが)できた」……どうやらこれは繋がりそうです。

太陽の「欲しいものができた」は、「生きる希望をもてた」と同義だと考えられます。

    • 「答え」としての行動をとった理由(「答え」に近いもの)

具体的目標はないが、生きる希望をもてたから、太陽は「答え」の行動をとった。


この「生きる希望をもてた」は、直接の答えではないにしろ「答え」に近いところにあると考えられます。ここまで来たところで、そろそろ保留していた「宿題」の方も考えてみましょう。

  • 「宿題」とは?

太陽の「なぜぼくのことをバラさない?」は、「なぜぼくを騎士(=味方)と信じている?」という風巻への問いです。これに対し「宿題は自力で解くもんだよ」と答える風巻。
ここで前述したように、「宿題」は太陽が問いかけている風巻ではなく、太陽自身の問題である可能性も含みます。

    • なぜ風巻は太陽を信じたか?

風巻が太陽を信じたことそれ自体の謎は「宿題」ではない可能性も出てきました。しかし「宿題」に近いところにあるのは確かで、これは考える必要があります。

そもそも5巻時点で、風巻の太陽に関しての情報はほとんどありません。「フクロウの騎士である」「少年である」……せいぜいこれくらいでしょう。知らない人間を信じられるのはなぜ?人間関係に恵まれなかった太陽でなくても疑問です。
しかし私としては、この答えは既に出ていると思います。つまり「少年である」、「太陽が子供である」からです。

惑星のさみだれ』において「大人」と「子供」は幾度もテーマ的に扱われています。
風巻のセリフではありませんが、太陽へのセリフで協和する部分があります。ロキが7巻で戦闘後、太陽へ言ったセリフです。

ロキ「もし騎士団の彼らに惹かれ 滅びぬ未来が欲しくなったのなら わしゃ止めんよ …味方する」
  「子供だものなァ 未来が欲しいに決まっておろうにな」
(『惑星のさみだれ』第7巻47話より)

子供だから、未来が欲しい、欲しくなると信じている。ならば、いつか騎士の側に立つだろう。これが私の考える風巻の思考です。

    • 風巻が太陽を信じた理由(「宿題」に近い)

「子供である太陽は未来が欲しいはずだから」


……む、これでは問いの形になっていませんね。これを更に突き詰めた問いとするよりは、「答え」に近いものから逆に考えてみましょう。「答え」に近いものは、「生きる希望をもてた」でした。

と、すると……「宿題」とは、「生きる希望をもて」のようなものではないでしょうか?

    • 「宿題」にかなり近いもの

「生きる希望をもて」


  • 「宿題」とは?「答え」とは?

なんとなくの答えが出てきたのでここから突き進めます。

太陽最大の成長イベントである10体目の撃破。以下はこの後の太陽とロキの会話です。

ロキ「何故…10体目を倒した?」
太陽「……わからない なんとなく」
太陽「何をすべきか何をしたいかなんて そんなのわからないよ わかるわけないだろ…」
(中略)
ロキ「…好きな夢を見よ…太陽 お前さんは自由じゃ…」
(『惑星のさみだれ』第7巻47話より)

この「わからない」は9巻「わからない でもある!!」と協和します。そして「自由」。大人目線のロキにとって太陽は本当は自由であり、自由に行動してほしいものである。「大人」という共通項からこれを風巻にも適用できます。風巻は子供である太陽に「自由」を望んでいます。これを前に出した「生きる希望をもて」と合わせると、「自由意思をもって未来を望め」となります。これが私の考える「宿題」です。


そしてその「答え」として太陽はそれに応えます。

ロキ「お前が未来を望むのならば何者が敵でも叶えよう!!小さき友よ!!」
(『惑星のさみだれ』9巻第58話より)

太陽は「なにかわからないけど、でも欲しいものができた気が」して、未来を望む騎士側に付きます。このとき騎士たちを回復した「時空清流」は太陽が自力で得た力です。そう、太陽は「宿題を自力で解」いたのです。

  • まとめ

風巻の出した「宿題」とは、子供である太陽に「自由意思をもって未来を望め」というもので、それに対する「答え」として太陽はその意思を表示した。

*最後の方はけっこう無理やりだったのであくまで私の解釈です。