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この夏オススメの漫画=『夏のあらし!』

黒髪ロング

8月……夏ですね!夏といえばそう、親の実家へ行って偶然出会ったミステリアス美少女といい感じになってしかし突然訪れる別れ。涙。涙。ひと夏の思い出。…………と、いう疑似体験をすべくフィクションの力が必要ですね!


さて、皆さん当然上記のシチュエーションから麦わら帽子をかぶった白いワンピースの黒髪ロング美少女をイメージしたことと思いますが、言うまでもなく日本では夏の風物詩として黒髪ロング娘が一般的です。

そのへんを踏まえて今回私の紹介したい漫画は、小林尽先生の『夏のあらし!』。


夏のあらし! 1 (ガンガンWINGコミックス)

夏のあらし! 1 (ガンガンWINGコミックス)


小林尽先生といえば『School Rumble』で有名ですが、コメディもシリアスもかわいい女の子も劇画な男もどれも一級に描けるというマルチな才能は高く評価しており、個人的にはもう一つ連載もってほしいくらいです(本気)。

――13の夏、田舎の祖父宅へやって来た主人公・八坂一は偶々入った喫茶店で働く女子高生・嵐山小夜子(あらし)と出会う。


夏のあらし!』でまず目を引くのは、何と言ってもヒロインのあらし。60年前、戦前の時代を実際に生き、現在は半幽体として夏を繰り返し生きるという黒髪ロング美少女です。

黒髪ロング娘の特徴の一つに「精神的に老成した美少女」があります。そのためSF・ファンタジー設定により実際に長く生きている、また辛い過去や境遇を経て来た密度の濃い時間経験といった、精神の成熟を裏付ける説明がなされます。

あらしも同様、長く生きたヒロインであり、かつ肉体年齢的にも主人公より3つ上という大人びた女性です。しかし同時に彼女は天真爛漫・明るく人から好かれるタイプの少女でもあります。加えて時代感覚の齟齬もありで、黒髪ロング好きならずとも魅力的なヒロイン。


また『夏のあらし!』にはもう一人、ドイツ人であらしと同じ境遇の少女・カヤも登場します。

この子もロングヘアというのがおいしい面白いとこで、あらしの黒髪に対し銀髪という色彩的対比。また行動的なあらしに対しカヤは大人しいタイプと、性格的な両者の対比がなされています。

日本人のあらしが積極的に現代に馴染むのに対し、外国人のカヤが昔の日本人的奥ゆかしさをもつとこなんかもギャップというか一般的なイメージから外してきた感じで、面白く機能しています。


この二人を始めとした女の子の魅力により楽しく話が動いていたのが序盤。5巻からは恋愛ものにおけるターニングポイント、すなわち「男→女」から「女→男」への心情描写に入って来て恋愛的な盛り上がりを見せつつ、話はより進むことで「コメディ→シリアス」へと展開。去年から今年にかけて佳境に来たというのが私の印象です。


また私がこのタイミングで『夏のあらし!』を推す理由として、これが戦争を扱った作品であることも挙げられます。6・7巻では過去つまり戦時の話比重が多くしたがってネームも多く、シリアスに戦争が描かれていきます。

特に7巻、あらしの「心の枷」の叫びには訴えるものがありました。


初期は古典的で不満はないが面白味に描けるといった印象の主人公も展開の進みにしたがって他キャラクターとの対比によりキャラが浮かび上がるように立ってきて、今文句なしにすすめられる作品となっております。

現在既刊7巻ということで、夏に読むにしても手ごろな長さではないでしょうか?…………では皆さま、よい黒髪ロング娘とのひと時を。