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「もう一人の自分」と向き合う物語 : 『≒ -ニア・イコール-』

ツイッターですすめられた、むらたたいち先生の『≒ -ニア・イコール-』を読みました。


≒ -ニア・イコール- (1) (まんがタイムKRコミックス)

≒ -ニア・イコール- (1) (まんがタイムKRコミックス)

ひとり暮らしの男子高校生・翔の元に、パラレルワールドから「もうひとりの自分」がやって来た。だけどその子は椿姫という名の「女の子」!?ケンカしながらも、共通する気持ちや思い出を通じて距離を縮めていく二人。しかし椿姫には誰にも言えない秘密があって…。恋と不思議と孤独が絡み合う、新感覚ストーリー4コマ、第1巻。


こうあらすじ設定だけみると「男のところにかわいい女の子がやって来たけど自分だと思うと一線越えられないラブコメ」のように思われるかもしれませんが、違います。この漫画の主視点は女の子、椿姫の方にあります。主人公は椿姫です。

椿姫は成績優秀、黒髪ロング、巨乳。生徒会に部活に励む"学園の鑑"でした。しかしそれは周囲の期待を拒めない彼女のつくり出した姿。彼女は「素の自分でいたい」という願望をもっていました。

翔の世界へ行った椿姫は、(相手が「自分」という気の許せることもあり)、椿姫の世界では見せられなかったダメダメな自分で過ごします。作中では椿姫の一人称が名前であることにツッコミが入っていますが、これもおそらく椿姫の世界では子供っぽくてできない、隠していることだと思います。椿姫にとって翔の世界は心地よいものでした。

しかし次第に彼女はそれが「逃げ」であること。そして自分が(翔と違い)「独り」であることを他人から指摘されつつ意識していきます。『≒』は、この椿姫の葛藤がメインに置かれたちょっとシリアスな四コマです(もちろんシリアスばかりでなくコメディックでもありますが)。

「≒」(ほぼ同じ)というタイトルは、椿姫と翔という二人の自分を指しているようで、実は「椿姫世界の椿姫」と「翔世界の椿姫」という二人の自分が向き合うという意味も含んでいるように思います。つまり、この「二人」が≒から=を目指すお話です。

そういった意味で、巻末の佐藤友生先生のイラスト(椿姫世界の制服姿でひょうきんなポーズをとる椿姫)は「到達点の椿姫」を思わせてなんだか微笑ましいのです。

  • 無気力通信さんの感想

パラレルワールドの俺は、巨乳の女の子!?「≒−ニア・イコール−」1巻 -無気力通信-