百合男子かく語りき

百合男子 1 我思う、ゆえに百合あり。 (IDコミックス 百合姫コミックス)

百合男子 1 我思う、ゆえに百合あり。 (IDコミックス 百合姫コミックス)

世の百合好きたちは百合に対する思いが強過ぎるあまり時折周囲との摩擦を引き起こす……今の俺は百合を意識したものでない作品を勝手に百合のものさしで測って叩く過激百合原理主義者に同じ!?(『百合男子』1巻 p93)

あー、これはあるわ……。自分を振り返っても痛いものだし目に付く感想でもあるある。もちろん百合に限らず。

この『百合男子』って漫画は文字通り百合好きな男子の話というまあそれだけなんだけど、ひとつのジャンルの実態を突き詰めたときに他ジャンルにも通じて似たような問題が起きているという意味でジャンル間にわたる問題が如実に出ているなあと思わずにはいられない漫画でもある……はずだ。

冒頭の引用は彼氏が女装したパッと見百合に思えるカップルを見て一度怒り冷静に返ったときの主人公のモノローグなんだけど、強く思い入れて観ている人ほど視野が狭くなってよく起こり得る事態っつーかだから他人事じゃねー。こういうの自分では気づきにくいけどいろんな人の話を聴く中で分かるものなんでせめて聴く耳くらいは残しとかないと、その点主人公は一人で思い直すわけですごいよ。

この他にも主人公は百合好きの同士らとスタンド使いのように引き合って集まるんだけど、そこで話すみんなの言い分が食い違うこと食い違うこと。一人ひとりの「かくあるべき」が反発して同じ百合好きで集まったはずなのに争いが起きてしまう。これもあるあるでぼくは『ぬらりひょんの孫』という漫画に出てくる羽衣狐様が好きで2chのファンスレをよく覗いてるんだけど、いちキャラクターのファンスレという狭い世界でさえ大分意見割れてて……ああ、この話例の方が分かりづらいですね。

まあ表面化してるかどうかはともかくどこのジャンルでもこういう問題が内在していて。個人の好みって実はけっこう細かいもんだし完全一致はしないだろうなあと思うとこの漫画みたく「百合好きならそれでいんじゃね?」くらいでゆるくまとまるしかないしそれでいんじゃねと思います。

つーわけでぼくはまじめに百合男子どうすんだろうなーと気になってるおそらく少数派の一人なんでこの漫画の主題というか根本の問題である「百合にいらない男子=俺はどうすればいいの?」にどういう答えを見出すかは相当に興味のあるところなんですが。まあギャグ漫画扱いされるのは分かるし今までまともに百合漫画の良作描いてた倉田嘘先生がこんなイロモノ持って来たあたりからもうびっくりだよね。

ところでミルキィホームズ サマースペシャルのニコ生でコーデリア役の橘田いずみさん(百合好きとして有名)が「百合を極めると無になる」という謎の名言を残して去ったんだけど、あれを踏まえて考えると百合男子は消滅エンドってこと?