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『丸太町ルヴォワール』:屁理屈舌戦・論理と黒ロン

丸太町ルヴォワール (講談社BOX)

丸太町ルヴォワール (講談社BOX)

「だけどよ、それが何だってんだ。人間の能力ってのはなあ、そいつの生き方で決まるんだぜ。自分よりすごいやつがいるってことが、せっかくの能力に見切りをつける理由になるのかよ。誰だってな、自分が持っている一つの能力と縁を切って生きていける程器用じゃねえんだ」(『丸太町ルヴォワール』p136)

ナンバー1になれなくてもオンリー1の価値を見出せなくてもそれがやらない理由にはならないよと。


以前から「登場する女の子が黒髪ロングばかり」とすすめられていた『丸太町ルヴォワール』読了。これは楽しかったね!
第一章は忍び込んできた謎の女性・ルージュとひねくれ美少年・城坂論語との会話。どうでもいい掛け合いの中での駆け引きが面白い。途中、論語は眠ってしまい起きるとルージュは消えていた。それだけでなく彼には祖父殺しの嫌疑がかかる。一章は導入部で二章からはこの事件の私的裁判“双龍会”が展開され、事件の真相に迫るこの双龍会が本書のメインとなる。

双龍会はゲーム逆転裁判のように、実際の裁判のディテールは除きエンターテイメントとして分かりやすい論理戦に絞られているため予備知識不要で全く面白い(リアリティという点はもちろん私的裁判だからそれで問題ない)。

逆転裁判と大きく異なるのは正攻法に限らないという点。あー、逆裁も検事側は証拠でっち上げてたか。まあでも双龍会では主人公側も平気で証拠でっちあげるし壇に立つ二人の戦いではなく外側まで利用して論を誘導するあたりもめちゃ面白い。屁理屈舌戦。相手側を騙すだけでなく読者も騙しにかかるどんでん返し二転三転四転五転。

一章ではいけすかない少年視点でいらっとくる人もいるかもしれないが、冒頭の引用のような天才コンプレックス者はじめ多数すげえやつらが戦い始める二章以降はがらりと様子が変わる。もちろんそこで出て来たやつら全てを深掘りはできないからキャラクターものとしては物足りなさはあるが、やはりメインは論理なんだなあこれは。こういう、どうでもいいことに(客観的な重要度は確かに低い)熱くなって戦おうってのはそれはもう楽しいものよ。