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『結界師』と『鋼の錬金術師』を比べて

サンデーが面白いですねーサンデーが面白いです(あいさつ)。『ムシブギョー』とか『BE BLUES!』とかいいんじゃないでしょうか?(ポケモン漫画にはふれない方向で)
さて今年のサンデーといえば『結界師』がついに完結しました。最近までの停滞期を支えて来た看板の一つ連載初期からリアルタイムで追っている漫画だったので個人的にも思い入れが強かったです。35巻完結なとことか実にサンデーな漫画だったと思います。今のサンデーは面白いんだけどもいかんせんヒロインの黒ロン率が低いので時音ちゃんのロングヘアーが懐かしい。あれは結んでたけどすげー長かった。正座してるときとか床に着いてたし。17巻だったかで「今時そんなバカ長い髪してるのあんたぐらい」とか言われてたし。そういう細かいとこの丁寧さが『結界師』のいいとこだったんですよ、きっと。

今回はタイトル通りその『結界師』と『鋼の錬金術師』を比べてみようということで。並べてすぐタイトルに「師」という共通項が見つかりますが、それだけでなく同時期の作品で連載期間も同程度・両作者とも女性・少年誌に連載・長編バトル漫画。昨年に『鋼の錬金術師』が連載終了し今年『結界師』が完結すると、今度は『結界師』の連載していたサンデーで『鋼の錬金術師』の作者・荒川弘先生が新連載を始める(『銀の匙』)という状況も考えると二作を比べてみては面白いのではないかと思った次第。

  • 兄と弟

鋼の錬金術師』の主人公・エドワードは兄。ひとつ下の弟・アルフォンスは同じ目的の下に同行している。一蓮托生ケンカするほど仲のいい兄弟。兄であることがエドワードにアルフォンスを引っ張らせた。一方『結界師』の主人公・墨村良守は五つ下の利守の兄であり、七つ上の正守の弟。利守とは同じ家で暮らすが、正守は裏会幹部として墨村の家とは別に行動する。それもあって良守は兄が何を考えているか分からず不安に感じている。高い実力を持つ兄とは夜行のメンバーなどから比べられ、それでいて兄ではなく自分が正統継承者である微妙な距離感からも関係に危うさが見え隠れした。特にはじめのころは兄弟の対立・対決の日が来るのではないかと思われたが、それをゆるやかに回避した、大きな敵を倒して終わりではない形は実にこの漫画らしいものと思う。

  • 主人公の目的

鋼の錬金術師』のエドワードは過去に人体錬成の失敗でなくした手足と弟の身体を取り戻すという目的を始めから持つ一方で、『結界師』の良守は先祖代々続く家のお役目を言われるままこなす中で自ら「烏森の力を封印したい」という目標を見つけた。こういう「夢」の見つけ方はリアルな印象を受けるが、途中志々尾の復讐という想いの方が大きくなりすぎてしまった黒芒楼編を挟んだことでその後との連続がうまくいかなかったと思う。その点『鋼の錬金術師』は賢者の石を巡るひとつの大きなストーリーに繋がるよう全体がまとめられた。

  • 能力

両者とも特殊な能力を使用する。『鋼の錬金術師』のエドワードは錬金術(+格闘術)。錬金術関連の能力はバトルものではそう目新しいものではないが、当たり前のように錬金術師のいる世界で個々の術師が固有能力のように錬金術を調整していること、質量保存の法則に向き合ったことは珍しい。『結界師』は空間支配術である結界術。特に主人公の能力としては異例に感じるが、作品世界でも墨村・雪村の者しか使えない希少な能力として扱われる。作中では正守の得意とする絶界など数種類の結界術が出てきており、個々に合った術の形式・戦闘方法に向き合っているのが面白かった。両者とも新技を出すよりは創意工夫でやり込めるタイプで技名を叫びたがらないタイプ。

  • 舞台

鋼の錬金術師』が求めて旅する話ならば『結界師』は守り続ける話で良守の戦いはそのほとんどが烏森の地で行われる。そのため攻めに出るのはほとんどが正守の役になり(中盤から正守メインの話も多くなった)、面白いが毎回のパターンが難しい使いにくさもある設定に感じた。主人公の目的とも関わるところだが、群像劇的にサブキャラクターの話までやる分にも不向きだったと思う。

  • 次作

荒川先生は今年から週刊少年サンデーで『銀の匙』を連載中。田辺先生は『結界師』連載終了からの動きなし。農業高校の生活ものというウンチク色もある『銀の匙』は荒川先生自身の経験が核になっていることを考えると田辺先生の次作が同方向の作品になるとは思えませんが、田辺先生の短編集『フェイク!』収録の投稿作「闇の中」が四季賞にでも載ってそうな感じだったので次も『結界師』的なものが来るとは限らないかと。
サンデーに田辺先生が戻ってくると高橋留美子先生の『境界のRINNE』、渡瀬悠宇先生の『アラタカンガタリ』、ひらかわあや先生の『國崎出雲の事情』、大高忍先生の『マギ』とサンデーは女性率高くなりますね。すでに多いな。


あんまり比べてないような気がしてきたけどこれで終わるのです(そそくさ)