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『この彼女はフィクションです。』最終話「この彼女はフィクションです。」

今週のマガジンで『この彼女はフィクションです。』(以下『かのフィク』)が終わりました。一巻発売当時「マガジンっぽい」という感想も「マガジンっぽくない」という感想も両方見た『かのフィク』でしたが、久しぶりに少年誌のラブコメで気に入った漫画だったので少なくとも今のマガジンのラブコメ支持層とは離れていたのかと思うと残念です。わずか四巻での完結(三・四巻は十・十一月に刊行)は意外であり惜しくもありましたが、元々あまり長く続けられる題材ではないと思ってはいましたし終り方自体はとてもよかったと思います。ということでもちろん最終話の感想を書くのです。


前号までのあらすじ:十年間ずっと理想の女の子『ミチル』を描き続けていた主人公・ユーリの下にある日突然その『ミチル』が姿を現す。共同生活に慣れたのもつかの間、『ミチル』には世界を滅ぼす脅威のあることが判明してしまう。創作者として自分が『ミチル』を元に戻すことを決意したユーリ。そして『ミチル』は現実からいなくなってしまう。


ミチルを失い悲しむユーリは一つミチルに会える方法を見つけます。

世の全ての「作者」がそうであるように……本来創作こそがキャラと会える唯一の手段なんだ……!

それは創作でした。ミチルしか描いたことのなかったユーリは文芸部員らの協力を得て創作、漫画を創ろうとします。それはミチルの物語であり自分もフーコ先輩も出てくる、というかこの漫画そのものでした。



作中作はたいてい絵柄をわざと変えるものですが、構図・セリフなども全く同じものにしたことで作品世界がメビウスの輪のようにきれいに閉じたのが印象的です。ちょうど『バクマン。』の二人が最終的に『バクマン。』を描くことになったとしたらこのような感じでしょうか。

この入れ子構造は第一話の扉絵や単行本一巻の表紙から見られました。

この彼女はフィクションです。(1) (少年マガジンコミックス)

この彼女はフィクションです。(1) (少年マガジンコミックス)


文芸部員みんなで漫画を描いているところにミチルの愛されっぷりが見えてよいです。こういう、全員で主役二人の幸せに走り祝うというのはすごくラブコメに感じ、異色の扱いを受けることもあった『かのフィク』ですが私は純ラブコメだったと思います。

そしてフーコ先輩は、もう一人のヒロイン・フーコ先輩もまたミチルの影響を受けて創作に恋愛に向かいます。『かのフィク』は講談社には珍しくセリフに句点が入っていること。そのほとんどがフーコ先輩のセリフであることから実はフーコ先輩もフィクションなのではという予想もしていたのですが(ミチルの場合は語尾にハートマークがつく)そうならなくてよかったと思います。この第二ヒロインの扱い、恋愛ものでは重要なとこだと思っているのですが、これもいい漫画でした。『羊のうた』の八重樫さんみたいな感じ。最終話でフーコ先輩が読んでる『地下鉄に乗って』はパラレルワールドものっぽいので(未読)何か関係があるかもしれませんね。

「あなたが読んでくれる限りキャラは生き続けます。」(作者巻末コメントより)