90年代以降の黒髪ロングとフィクション

 ただいま新装版の出ている池野恋ときめきトゥナイト』。80年代の漫画ですが主人公・江藤蘭世ちゃんがすごい黒ロンなのですよ。明るく元気で乙女。主人公を替えて三部構成になっていて第三部では高校生と大学生の親という年になっているのですが、それでもまだかわいいという恐ろしさ。噛み付いた相手の姿に変身出来る能力があって、蘭世ちゃんが主人公の第一部では別の人に変身して大好きな真壁くんに近づくシチュエーションに大変ドキドキしました。

ときめきトゥナイト 新装版 1 (りぼんマスコットコミックス)

ときめきトゥナイト 新装版 1 (りぼんマスコットコミックス)

 『ときめきトゥナイト』には同作者によるリメイク『ときめきミッドナイト』という作品もあります。こちらも既に完結しているので見てみようかと思ったのですが、これは蘭世ちゃん黒ロンじゃないんですね。スルーしました。

 さて80年代少女漫画の黒ロンと言えば日渡早紀ぼくの地球を守って』も有名です。前世の記憶を共有する七人の少年少女の物語。主人公・坂口亜梨子は美人の超能力者・木蓮の記憶を持つ少女でやや大人しいタイプの黒ロンです。ただ前世編も入るので登場頻度は意外と多くなかったような。

ぼくの地球を守って (第1巻) (白泉社文庫)

ぼくの地球を守って (第1巻) (白泉社文庫)

 で、この『ときめきトゥナイト』『ぼくの地球を守って』の連載終了がともに94年。それから『君に届け』スタートの2005年まで主人公が黒髪ロング娘の少女漫画と言えば何だろうか……と調べていたのですが、実は代表作レベルだと見当たりません(参照:90年代の少女漫画)。

 ぼくはこの時期ほとんど少女漫画を読んでいないので覚えている限りだと2002年の『ウルトラマニアック』(全5巻)くらいでしょうか。リンク先の漫画全て把握してはいないのでもしかしたら代表作レベルでもあるかもしれません。何かあったらコメント等ご指摘願います。

 時代背景としては90年代は染髪が大衆化した影響が雑誌によっては強そうです。単行本の端書き見ている感じ編集者は時代に敏感で口出ししてそうですし。が、そもそも少女漫画には黒ロン主人公少ないなーと思います。最近では男性向け/女性向けレーベルもあいまいになってきていますしあまり意味のある区分けではないかもしれませんが、時代背景やら色々含め90年代以降さらに主人公に出しにくくなったように感じます。

 一方で94-05年には『羊のうた』『アトラク=ナクア』『月姫』と三神降臨しており男性文化(あるいはオタク文化)は黒ロン充してた説もあるので、ヒロインとしては比較的出しやすかったのかもしれません。

 要するに90年代以降良くも悪くも「今」黒髪でストレートロングヘアを保っているという意味合いが強くなってしまったということですね。それがフィクションにも反映されているのではないかと。

 関連:属性としての「黒髪ロング」と、そこから読み解く物語 - 水星さん家

 実際蘭世ちゃんはけっこうおバカなんですけど今だと黒ロンは才色兼備みたいなイメージありますからね。そういうのもだんだん出来上ったものかなと。あ、もちろん今でもおバカな黒ロンいますよ。佐天さんとかね。