Amazon Kindleの「読書」体験

 

テレビアニメ『氷菓』の放送が始まっているそうです(※見てない・見たい)。

『氷菓』のような、日常生活の小さな不思議を取り上げたミステリ作品は日常の謎と呼ばれることがあります。この分野における元となったのが北村薫「円紫さんと私」シリーズで、『氷菓』もそのシリーズ四作『六の宮の姫君』に影響を受けて書かれたとのことです(wiki -春桜亭円紫)。

 

ミステリという点から離れると、「円紫さんと私」シリーズは北村薫のよく書く、賢くおとなしそうに見えて実はアクティヴな少女の活躍する「お嬢さん大活躍」な小説でもあります。国内のそうした作品群に影響を与えた、あるいはそうしたジャンルを遡っていくと、久生十蘭『キャラコさん』というタイトルが挙がることを以前どこかで聞いて(文脈は忘れた)長らく読みたかったこの小説。先日ようやく読むことができました。単行本は絶版・比較的新しい全集はあるものの値段的に手が出しづらい状況にありますが、なんと青空文庫にて全て無料で読むことができます。

 

青空文庫には紙の本では入手困難である貴重な作品が埋もれていますが、ネットでたくさんの文字は読めないという方も多いかと思います(私もそうです)。

そんな人は紙にプリントしたりケータイで読んだりという手もありますが、私が利用しているのはkindleです。

 

  • kindle…… わたし、気になります!

先日2012年内の日本語版kindle発売が正式に発表されました。まだ日本のAmazonで取り扱っていないこと・日本語PDFの非対応・日本語コンテンツの不備などなど、国内利用の点ではまだまだ制約が大きいkindle。いちユーザーとして、国内版が発売したらどの程度普及するのかという点には興味があります。

 

というか kindle は電車やバスでの通勤・通学時にはかなり重宝するので、普及すると朝の光景が変わるかもな~となんとなく予想しています。そういうわけでここでは国内利用者の少ないkindle紹介と、将来kindleが普及した際に自慢できるよう書置きを兼ねて、kindleでの「読書」体験をまとめます。

 

 

  • kindleの読書は「ゲーム」の感覚

Togetter - 電子書籍は本来、「モノ」も「体験」もセットで売るものだった

 

ハードとソフトを切り離して電子書籍は語れないというこの話、kindleの読書にも同じことが言えます。

 

ノベルゲームと呼ばれる、プレイヤーが選択肢を選び、それによるストーリー分岐を楽しむものがあります。こうした類のゲームがゲームと呼ばれるものかは判断の分かれるところで、特に『ひぐらしの鳴く頃に』ではその選択肢すらないにも関わらず、制作側はこれをゲームと呼んだことが話題となりました。

 

こうしたノベルゲームの類も包括する広いゲームの定義に、「(コンピュータ)ゲームとはボタンを押すことに快楽があるものである」といったものがあります。ボタンを押すことで新たなテキストが現れる感覚は紙のページを捲るのとは違う面白さがあり、また逆にボタンを押すまでは完全にテキストが隠れていることをしばしば演出にも用いるところに、ノベルゲームのゲーム的な要素がうかがえます。

 

そうした工夫はないにせよ、ボタンを押すことで新たなテキストが現れるという点では、kindleの読書もノベルゲームと同じくゲーム的な体験です。kindleの画面最下部には、今開いているファイルを何ページ・全体の何パーセントまで読み進めたかが映ります。この数字がゲームで言うところの攻略パーセンテージで、分厚い本を「ここまで読み進めた」という感覚は、kindleでは数字ではっきり示されます。

 

またkindle電源オフにしても画面にはランダムに著名人や絵画などが映るのですが、これも段々ゲームのポーズ画面に見えてきます(余談ですがkindleの電気消費量はめちゃくちゃ少ないので常時画面が映っていてもケータイのように頻繁な充電は要りません)。

 

 

  • ポータビリティ

kindleの重さは厚めの文庫本程度。近年の新書ブームは手軽な価格設定や読みやすさも去ることながら、ポータビリティが大きいと考えています。片手を広げて持ち安定しやすい大きさで、薄く鞄に入れても嵩張らない新書は、通勤・通学者が持ち歩き車内で読むのに適しています。

 

同じことはkindleにも言えます。kindleの大きさはハードカバーの単行本くらいで、重さは厚めの文庫本程度。厚みは新書より薄いくらいで、とても持ち運びやすいです。またkindle一つあればその中に大量の作品が入るため、「一冊読み終えたら次に読むための本」まで何冊も持ち歩く必要がありません。そういう意味でもkindleはポータビリティが高いです。

 

 

  • 操作性

最近は電車で雑誌や新聞を読む人も少なくなったと言います。確かに混雑した電車内では雑誌や新聞を広げるのもなかなか難しいです。そんな車内で圧倒的に多いのが、ケータイ(スマートフォン)を操作している人。本や新聞を読むにはある程度手を動かせるスペースが必要であり、しかも完全に片手だけで操作するのは困難です。片手だけの小さな動きで充分操作できるという操作性が、車内でケータイの利用が多い一因と考えています。

 

操作性の点でも、kindleは優位にあります。先にふれた通りkindleは薄く片手で持って安定しやすいデザインです。加えてケータイのように片手操作が可能であることが、荷物や吊革で手がふさがる車内では重宝します。

 

kindleの片側には「前ページに戻る」ボタンと「次ページに進む」ボタンが、逆側には「ホーム画面に戻る」ボタンと「次ページに進む」ボタンが設置されてあります。つまりはどちら側を持っても次ページへ進む操作をするぶんには支障はなく、ただ読み進めるだけなら片手での操作が、それもボタンを押すだけなので最小限の動きで可能です。

片手操作には手軽さがあり、満員電車に縁がない方にとってもうれしいはず(据え置きハードの立ち上げが面倒で携帯ゲームをやる感覚)。

 

  • それから……

その他にもkindleには液晶画面のように目が疲れず、もしかしたら紙よりも読みやすいe-inkの美しさ・シンプルでおしゃれ、かつ、なんかすごそうな感を出せるファッション性(?)などなど色々と気に入っているところがあります。が、やはりネックは日本語コンテンツの少なさ。

 

現時点でも青空文庫kindle フォーマットに合わせて簡単にPDF化できる青空キンドルというサイトがあり、著作権の切れた昔の作品を最新の端末で読むことができます。英語コンテンツやいわゆる自炊に手を出さなくても、青空文庫WEBページのPDF化ツールの利用、また様々な場面でたまに手に入るPDFファイルを入れておくだけで、移動時間中に楽しむ分には十分です………ですがここまで快適に読めるとなると、家に延々積まれていく本・雑誌を出先で読めれば楽だな~ともよく思います。

 

そんなわけで国内版発売に伴いコンテンツの充実がなされれば、個人的にももっと便利に、普及にもつながるという当たり前の結論ですが、当たり前だけにその点はけっこう期待している毎日です。

 

 

  • 参考リンク

 最近かなり気になってきたKindleについて色々調べてみました - もとまか日記

 

kindle購入方法・使い方はこちらなど、様々な方がまとめられています(今は国内版販売待ちが一番でしょうが)。