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オワコン時代のミルキィホームズマーケティング

 『探偵オペラ ミルキィホームズ 第2幕』の放送が始まった。第2幕と言わずこのままサザエさんのようにずっと放送し続けてほしい。

 情報のスピードが速く、したがって話題が移り変わるのが早い。こうした時代においては話題を切らさずコンスタントに提供し続けることで忘れられないようにする努力が必要なのかもしれない。昨年完結した長期連載漫画『鋼の錬金術師』はアニメ放送や映画化を経て、完結話の載ったガンガンが売れ切れるほどに勢いを保って終了した。その勢いは即座の完全版販売にも流れていることと思う。また実質的に不定期連載である『HUNTER×HUNTER』は連載自体がニュースになり、週刊少年ジャンプというメジャー誌掲載ということもあって定期的な盛り上がりは最も大きい漫画と言っても過言ではない。『HUNTER×HUNTER』の場合は結果的で週刊連載としては決してほめられた姿勢ではないが、いずれも話題を切らさずコンスタントに提供し続けることには成功している。
 ミルキィホームズも1期から2期までに1年の間があったが、これに対しどのような戦略をとってきたのだろうか?

  • 他アニメとのタイアップ

 ミルキィホームズの放送期間は2010年10月から12月。それから第2期の始まるこの2012年1月までの1年間、実はこの間もミルキィホームズがテレビに出ていた。同じブシロードのアニメ『カードファイト!! ヴァンガード』とのコラボレーションのことだ。ヴァンガードには画面の端やほんの一瞬、ミルキィホームズの面々が登場する「謎ミルキィ」と呼ばれる現象があった。回によっては一時停止をしないと分からないようなレベルのこの謎ミルキィは特にニコニコ動画で視聴する層を繋ぎ止めたのではないかと考えられる。ミルキィホームズニコニコ動画ではコメントが再生数を超すほど盛り上がり、ニコニコ動画との相性が非常によかったためにこの効果は大きいだろう。
 また他アニメとのタイアップと言えば2011年12月、第2幕放送直前に『キルミーベイベー』との公式サイト乗っ取り合いも話題となった。放送時期が同じ似たようなタイトルのアニメというのを公式がネタにしてしまったことは直前に提供する話題性は大きい。個人的にはこのプロレス感に漫画家・久米田康二と赤松健の戦い(?)を思い出した。
 さらにアニメとして直接の関わりは薄いが、昨秋のダークホースとも言われた『gdgd妖精s』は無視できない存在だ。メイン三人の声優のうち二人がミルキィホームズ出演声優で、特にピンクがシャロと同じ声優というのはミルキィホームズを想わずにはいられないアニメだった。作風は違えどギャグという共通項や、9話ではそのシャロの声優・三森すずこの罰ゲーム姿のパロディが映されるなど、声優を意識したネタの多いアニメとしてミルキィホームズとの関わりも大きかった。秋の1クールアニメということで、ここからミルキィホームズ第2期に流れる層も多いのではないかと考えられる。

  • 本編の放送

 1期から2期の間にはミルキィホームズというアニメ自体も放送されていた。その感動的なストーリ展開が話題を呼んだ(関連:『探偵オペラ ミルキィホームズSS』 明智小衣の選択 - 水星さん家)サマー・スペシャル(SP)だ。SPはニコニコ生放送で最速と、先にもふれたニコニコ動画との相性の良さをねらった戦略は見事に成功し、地域によっては少し待てばテレビで観られるものを800ポイントも支払って観る輩が多く集まった。同じことは第2期のニコ生先行上映にも言える。先に観たファンからの好評が早く広まる現代に合っていることと思う。
 1期から2期の間にはSPしか作られていないが、ミルキィホームズがとにかく再放送をしていたのは有名な話だ。昨年にはわずか1年の間に2度もニコ生一気見放送が行われた。ニコニコとの相性の良さもそうだが、特に2度目は12月24日をねらったことでただの土曜日にヒマしている層を釣ることができた。これも話題性、第2期直前のタイミングで効果が大きい。
 過剰なまでの再放送はニコニコだけではない。テレビでの再放送も頻繁に行われた、ようだ(地域的事情で直接確認できていない)。特にTOKYO MXではミルキィホームズの後番がまたもミルキィホームズというなんとも面白い事態になっていた、らしい。

 『探偵オペラ ミルキィホームズ』というメディアミックス作品においてはその主演声優4人がユニットを組んで活動している。ミルキィホームズとして活動している彼女らのラジオ番組やライブはファンのうちにミルキィホームズを強く生かしたことだろう。もちろん声優活動に興味のあるファンは一部の濃い層だけだろうが、2012年の武道館ライブ決定にはそれ以上の話題性があった。
 話題性という点では、声優ユニットミルキィホームズは声優ファン以外にも注目された。それは彼女らの活動がラジオ番組やライブ活動だけにとどまらないからだ。ヴァンガードのカード大会に参戦し、長島☆自演乙☆雄一郎氏の格闘技イベントにゲスト出演、さらには横浜ベイスターズの始球式まで務めた。こうしたタイアップはファン層のかぶった上手いマーケティングとは言えないものの、奇想天外なアニメ本編の内容とも重なり「何をしでかすか分からないミルキィホームズ」の印象を現実世界でも強く感じさせる結果となった。こうしたよく分からないマーケティングという意味では三鷹市観光協会ポスターにシャロが採用されるなど他にも様々なニュースがあった。
 ところで1期から2期の間には本来本編であるはずのPSPゲームが配信されているが、肝心のこちらはコミカライズやノベライズと同じようなファン向けのコンテンツに終わっている感がある。ん?

  • さーて第2期の1話は

 以上の流れから2期1話を観てみよう。1話は新しいストーリー展開が提示されるものではなかった。1期1話はトイズを失いそれを取り戻すという目的が示されたが、2期1話はセルフパロディも入りいつも通りのミルキィホームズという、内向け・ファン向けな内容であったことが気にかかる。ここまで観てきたように旧ファンを逃さない取り組みを続けてきたミルキィホームズだが、新規ファンの獲得という点では内容に不安がある。1期1話もつかみとしては失敗していたため(※ブシロードはアニメ放送前からミルキィホームズを大々的に宣伝していたが実際の盛り上がりは4話のジブリパロディが大きなきっかけとなった)、テンションが伝われば初見者でも問題ないと判断されたのかもしれないが、本当に問題がなかったかはちょっと分からない。
 武道館ライブの広告が首都圏の電車内にはられるなど広い層への訴えで国民的アニメへの一歩を進めていたミルキィホームズの2期1話として、個人的な感想としては単体で観れば非常に面白いが流れを考えると不安が残るスタートであった。SPのBDコメンタリーでは2期はミステリネタも1期より多く入れるつもりとの発言があったので、このまま「探偵」から離れていくとは考えにくいが、それでもおそらく目的提示がなされる2話を待ちたいと感じた。あ、フォローしておくと全体を見て不満は押しているが個人的にはミルキィホームズを観られるだけでだいぶ満足である。だいすきミルキィホームズ(トゥエンティのリズムで)。

 参考:ブシロードも社運を賭けた? アニメ「ミルキィホームズ」第2幕 - K’s Station HATENA ver.