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三角関係ものBEST3と『WHITE ALBUM2』

 この一週間色々と支障を来すレベルでプレイしていた『WHITE ALBUM2』をやっと終えました。フィクションにこんなに深入りするのは久しぶりで、恐ろしくのめり込み精神を持っていかれる作品でした……。
 さて、『WHITE ALBUM2』は三角関係がメインのゲームですが、俺は三角関係ものが大好きです。そういうわけで現時点の三角関係ものベスト3を紹介する流れで『WHITE ALBUM2』の感想(ネタバレなしver)とします。ネタバレありの各ルート感想は後日。

※該当作品において決定的なネタバレは外しているつもりですが筆者の判断がぬるい、もしくは書き方から類推できる可能性は否めないことをご注意ください。あと、ここで挙げたもの以外の三角関係もので面白い作品があれば教えてもらえると喜びます。

シャドウハーツII ディレクターズカット PlayStation 2 the Best

シャドウハーツII ディレクターズカット PlayStation 2 the Best

 PS2RPGゲーム『シャドウハーツII』はPSゲーム『シャドウハーツ』の続編であり、時系列的には前作のバッドエンディングに続く話です。前作のバッドエンディング、つまり前作ヒロインであるアリスが主人公・ウルのため死んだ後の世界で『シャドウハーツII』は始まります。
 最愛の女性・アリスを失ったことで生きる希望を失ったウルは、そのアリスに救われたために死ぬことも許されない。惰性的に生きるウルが新たな冒険により立ち直るのが『シャドウハーツII』の物語です。本作では新たなヒロインとしてドイツ軍人のカレンを迎えます。ウルと運命的な出会いをし、旅に同行する中でだんだんとウルに惹かれていくカレンでしたが、ウルの目には失った今もアリスしか映りません。
 本作の三角関係はカレンから見たものでしかなく、しかももう一人の女性はすでに死んでいるという特殊な例です。それでもウルの中のアリスはカレンの前に大きく立ちはだかり、旅を続ける中でカレンは苦悩します。
 本作の三角関係はラスト、思わぬ形で解決されます。それによりカレンの想いは果たされ、本作はある意味カレンの物語として幕を閉じます。愛と運命の物語として世評高い本作を支えているのは、前作の物語基盤に加えこのカレンの選択でしょう。

羊のうた 1 (幻冬舎コミックス漫画文庫 と 1-1)

羊のうた 1 (幻冬舎コミックス漫画文庫 と 1-1)

 冬目景羊のうた』の三角関係においてはその序列が明確でありません。特殊な一族である高城家の歴史という長大な時間を背景に弟・一砂と強い繋がりを持つ千砂。長く離れていた二人がある日出会うことで、一砂と運命的に強い繋がりを持っていたはずの八重樫は一砂から引き離されます。それでも待つ覚悟と戦う意志を見せる八重樫の姿は、決して判官びいきだけでなく強く魅力的に映ります。
 一方、重い病に苦しむ千砂はそれにも関わらず一砂のため生きようと決意します。八重樫を始め一砂に近づく外敵を次々と排除する千砂。「彼女の意識は17歳の少女とは思えない程老成している」「あのこはただ単に綺麗な女の子じゃない……人をひき付けて破滅に導くような……そんな危うさを持っている娘よ」と作中評を受け、旧来の付き合いであり主治医である水無瀬医師の前でさえ弱さを見せたがらない千砂は、一砂の前では明るい笑顔を見せ二人だけの世界で生きようとします。八重樫の強さが見えるのもこの千砂の存在があるからでしょう。
 八重樫か千砂か。本作の三角関係はラスト、賛否両論とも噂に聞く結果を迎えます。毎年のように読み返す思い入れの強い漫画で、ラストについてはゲームのようなマルチエンディング、またファンタジー要素の強い手法を取れない作品においてそのギリギリにしてこれ以上ない解決だったと感じます。それは絶望感の漂い流れた世界において希薄でも望みを、始まりを示したからです。

  • 1位:『WHITE ALBUM2』

(※Amazonさんがアダルト商品を表示してくれない)
 先の2作とは物語の数量が違いすぎるため単純な比較はできませんが、ここに新たに加わったのが『WHITE ALBUM2』。本作は「introductory chapter(以下:序章)」とその3年後を舞台とする「closing chapter(以下:終章)」から構成されます。新ヒロインらの3エピソードも充分ここに並べられるレベルの三角関係ものですが、やはり序章からの物語基盤が最も発揮される小木曽雪菜ルート・冬馬かずさルートに絞って書くことにします。
 序章から3年後、プレイヤーはまず終章の新たな追加ヒロイン3人のエピソードを見ることになります。序章の件で微妙な関係になっている春希と雪菜。3エピソードを見るうち春希そしてプレイヤーにとって雪菜の存在が大きくなり、それが頂点に至り迎える雪菜ルートに胸を打ち「もう二度と雪菜を離さない」と誓います。ついに二人が結ばれたとき、終章はこれを正史とし次の物語に向かいます。そこに現れるのは序章で運命的に強い関係にあった冬馬かずさ。
 他の三角関係ものが何らかのファンタジー要素をエクスキューズとし巧い解決の手を打ってしまうのに対し、本作はそういったエクスキューズを含めず真っ向からそれに挑戦します。つまり終始現実レベルで物語は進行します。そこで重視されているのが「時間」です。
 先の2作が先行する物語・時間を背景に話に重みをもたせているのと同様、本作も序章から3年後の世界を舞台とし、それを背景にさらに終章の内でも長い時間を内包します。ですが本作ではそれ以上に「時間」が重視されています。あるヒロインのエピソードでは「物事を解決するのは時間である」と示され、過去を振り返って未来への導とします。一方で序章からの3年は春希らにとって何の解決にも繋がっていないわけで、時間に対するシビアな目線も含有します(※この点についてはあるヒロインから直接指摘される)。時間に対する優しくシビアな目線は全体に行き渡り各エピソードのラストに大きく影響します。
 繰り返しになりますが、何ら特殊なファンタジー要素を含めず真っ向から成し遂げたことに本作の三角関係ものとしてのすごさは集約されます。序章・終章を経て物語基盤が強くなる一方で目標のハードルは上がり続けるという展開に、またそれが非常に長く続くことでプレイヤーのボルテージも上がり続けました。そうした中で三角関係ものの第一目標である当事者たちの満足を成し遂げた本作は個人体験として長時間身が震え呻き泣き崩れるものであり、そもそも三角関係ものに興味を持ったきっかけである『羊のうた』の次のステージを見せてくれたように感じます。うあああめちゃくちゃすばらしかった!!!(文体維持を我慢できなかった)