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『常住戦陣!! ムシブギョー』蟲奉行様ビーストモードを括目して見よ!

 今週の週刊少年サンデー『常住戦陣!! ムシブギョー』がすばらしくてすばらしくて、もう二十回以上読みました(あいさつ)
 内容を一行で説明すると「マジいい子である仁兵衛のことを蟲狩(敵)の仲間だと勘違いしてむざむざ傷つけてしまった蟲奉行様が人としての心を忘れた己を呪いビーストモードへ」となります。人として温か過ぎる仁兵衛と人として冷た過ぎる蟲奉行様の出会いという展開の面白さに加え、蟲奉行様ビーストモードのあまりのすばらしさが見所で、以下この二点について書きます。

常住戦陣!!ムシブギョー 4 (少年サンデーコミックス)

常住戦陣!!ムシブギョー 4 (少年サンデーコミックス)

  • 人として温か過ぎる仁兵衛

 仁兵衛のマジいい子さは人の悪意をそもそも感知できないレベルというのは以前言った通りで(関連:『常住戦陣!! ムシブギョー』 仁兵衛の沸点について - 水星さん家)、最新四巻はちょうどこの話まで収録されています。蟲奉行様は一緒に遊んでたり身を盾にして守ってくれたりの中でこの仁兵衛のマジいい子さにふれ、「わずかに残っていた心の機微」を刺激されます。そのときは自分の感情を信じられずそれを仁兵衛の「策略によるものと錯覚してしま」ったものの、遅れて気付くことになります(なんか恋の話をしているようだ)。

 ここまで仁兵衛のマジいい子伝説をまとめると

  1. 自分がバカにされても気付かないが仲間をバカにされると気付く
  2. 上の件でついにキレるかと思われたがその怒り方が「手伝いながら十日間ずっと言い続ける」
  3. 遥か昔に人を捨てたはずの蟲奉行様に人としての心を思い出させる(←New!)

 仁兵衛が人の悪意をそもそも感知できないレベルのいい子であることは彼がバカであることとセットで作品の色に反映されています。例えば四巻での蜜月編は仁兵衛が抜けていないと「演じているあなたもあなた自身でしょう?」という説教で話をまわすことになるわけで、実際そういう話は漫画に限らずたくさんあるのですが、それを直接突かないのがムシブギョーの特色です。いやー、めちゃくちゃ楽しいわこの漫画!

  • 人として冷た過ぎる蟲奉行様


 (蟲奉行様before)
 仁兵衛のマジいい子さが最初からずっと通して描かれているのに対し、比較的登場間もない蟲奉行様の背景はあまり説明されておらず、彼女が「人を捨てた」という発言は唐突に感じられ……ないんだなこれが。背景こそベールに包まれていたものの、蟲奉行様はここまで三点、すなわち特別な立場にある重要人物であること・孤独であること・蟲狩から強く恨まれていることが強調して描かれてきました。始めの二点からは彼女が普通の人と隔たりがのあることはなんとなく想像できます。このなんとなくに強い説得力を持たせたのが真っ白なキャラクターデザインで、蟲奉行様が異質な存在であることが誰の目にも分かる形で示されていました。また毒という能力や事後的ですがビーストモードが明らかになったことで負の面を抱えていることが明らかにされました。あ、そろそろ蟲奉行様ビーストモードについてふれておきますか(言いたくて仕方がない)。



 (蟲奉行様after)
 これが羽衣狐様……じゃない蟲奉行様ビーストモードだ!!
 っと、一目瞭然で『ぬらりひょんの孫』羽衣狐様フォロワーですよ!(関連:カラーでもモノクロな羽衣狐さまの不思議 - 水星さん家) 同じくサンデーの『結界師』も相当に黒い漫画でしたが、全キャラクターベタ塗りが基本の『結界師』と比べると全体におけるキャラクターの異質さが際立つという点でやはり羽衣狐様フォロワーと言うべきでしょう。白文字の擬音が被さっているのはやや惜しいところではありますが(※羽衣狐様はその登場時にほとんど擬音を排することで静謐な空気を出していた)、なぜか帽子や服も黒くなっているだけでなく睫毛や爪まで黒くなっていることから相当な拘りが感じられます。何より平常時真っ白な姿とが対照的でものすごくインパクト強いです。羽衣狐様の戦闘はわりとレイニー待たされたので来週から早速バトルが見られることも楽しみなところ。

 『月姫』の遠野秋葉嬢が戦闘モードで赤髪になるのは有名ですがその逆、つまり本気出すと黒ロンになるというのを突き詰めたのが蟲奉行様。変身後に黒ロンになる魔法少女を見ないと以前書きましたが、魔法少女ではないにせよ真の姿(?)が黒ロンという点で黒ロン史的に重要な例となるでしょう。そういうわけで今後も蟲奉行様ビーストモードから目が離せません(文字通り)。あと蟲奉行様ビーストモードというのは俺が勝手に名付けました。