『ピーピングロマンティッカー』の感想

 今週のヤングジャンプ14号には『この彼女はフィクションです。』(以下『かのフィク』)渡辺静先生の読切『ピーピングロマンティッカー』が掲載されています。『かのフィク』好きとしてこれは感想書かざるをえんな……ということで、以下ネタバレには到達しないはずの感想を。


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 タイトルにpeeping(覗き)とあることからなんとなく想像がつくように、主人公の男は盗撮者でありサチコという女性の部屋を「観察」しています。この漫画のひとつ前に私生活覗き見設定のグラビアが置かれているのが、偶然なのか狙っているのか面白いですが、まぁそれは脱線。
 ちらと見られる倫理的に外れた言動(そもそも盗撮がそうか)からも判るように、これは真っ当なラブストーリーではありません。それでも全体はエロティック&コメディックな空気に満ちていることもあって、不思議とこういう形の愛があってもいいのだとすんなり受け容れられます。
 青年誌は初ということだったので、エロいのをストーリーに組み入れているのが意外で、しかし巧い。あとエロい。盗撮だからエロくなるのは当然なんだけどそういうのじゃなくて、そういうのもあるけど、まぁ普通にエロい。
 さて、前作・前々作を見ても渡辺先生の漫画には構造の美しさがあって、それを目指しているのではないかというのが三作読んでの自分の考え。最近だと麻耶雄嵩『収束』(『メルカトルかく語りき』収録)で同じような構造の美しさを感じましたが、ここで言う「構造」とはある種の推理小説の作りに似たものです。なのでプロット段階から細かく組んでいるように思います。
 ただそれはミステリのような結末の意外性をねらっているのではなく、それもあるが効果としてはそれ以上。どの作品にしてもメビウスの輪を辿り一周して繋がっていたことに気付くような、終わりが始まりでもあるということが(それはあらゆる物語に通じることなのだけれど)構造により受け手に伝わり、はっきり意識させられます。このような構造は『かのフィク』最終話においても同じように感じ、美しいと思ったところ。
 ヤングジャンプの読切で「二周目解禁あり」というと最近でも二作ほど浮かびますが、この構造という点でそれらとの違いを感じました。今作はその構造の美しさを前作・前々作のようなファンタジー要素抜きでやってのけたところに特徴があり、そこがこの「外れた」話を近くに感じられる一因でもあるのではないかと、そう思っています。
 『かのフィク』とは全く違うようでいて、実は非常に近い。すなわちこれもまたフィクションがリアルになる話と受け取りました。