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『白恋』のことを思い出して

 私事ですが先月から働き始めまして、四月のツイート数は激減、ブログも停止、漫画アニメゲームの類もほとんどない状態でした。詳細は書きませんが色々心配されている方もいらっしゃるようで申し訳ないので一月ぶりにブログでも動かして生存報告に代えたいと思います。


 漫画アニメゲームの類もほとんどない状態でしたと言いましたが、入社前ギリギリでクリアしたゲームが一つあります。現役看護師がシナリオ担当した百合ゲーとして有名なところでは有名な『白恋』(『白衣性恋愛症候群』)です。



 このゲーム、Amazonレビューで「Bad EDがいい」と書いている方がいましたが、確かにGood EDはBad EDの裏側と感じるほど、Bad EDが起こらないEDと言ってもいいほどにBad EDはどれも印象的です。

 こう書くとGood EDがあまり印象的でない、それが悪いように思われかねませんが

やすこ「要は責任の範囲内でできることだけきっちりやればええねん。そっから先のことは、考えるだけ無駄」


 看護師は医師ではないので、患者の治療をするわけではありません。患者を直接救えるわけではない。けれど、看護師が仕事を怠れば死に至る患者もいる。そうした看護師の立場をよく表しているのがやすこのこのセリフで、「特別な何かは起こせないけれど、特別な悪いことが起こらないようにするのが看護師の仕事」と解釈すれば、本作のシナリオ全体に敷衍できる考えです。

 多くのプレイヤーはBad→Goodの順にクリアすることでしょう。ならばBadはGoodに積まれ、Badを起こさないことがGoodである、と。例えば『ひぐらしのなく頃に』をイメージすると分かりよいかもしれません。


 『白恋』の舞台は地方の小さな病院。一つのミスが患者の生死に直結しかねない医療の現場ではそのために、例えば間違った情報が伝わらないように指示語や省略を用いないで正しく分かりやすく話すといった基本的なことも、より重要さを増します。

 そうした仕事のシビアな面を補強するのが、現場を知る現役看護師の手によるシナリオ。インタビューには「看護師の現場は大奥なので、本当の生々しい体験を書いてもユーザーとしても嬉しくないだろうと思い、優しい看護師というものを前面に出しました」とありますが、医療・看護の専門用語や、ある程度ユーザーにストレスをかけてくる「仕事のミスで上司に怒られる」場面が多々見られ、なかなかどうして攻めの姿勢を感じます。私も途中で「なんでゲームの中で仕事してんだよ」と嫌になって止めそうになりました。

 その一線を保っているのが本作のメインであるところの百合で、仕事というオトコ的なものの中で女性的な面やガールズラブなシーンが見られるというのが本作のメインです。

 日本のサラリーマンにとっては、会社の飲みやイベントなど、仕事以外の時間もある種の仕事の内で、仕事と休みの境界が極めてあいまいです。そうした男社会的な臭いのない仕事が、『白恋』では見られます。

 『白恋』の世界はおそらく実際の女性主体の職場とも異なる、ファンタジーなのでしょう。しかしそれは、目を背けるファンタジーではなく包み込むファンタジーなのです(と、いうことを働いているときはよく思っている)。


 ちなみに『白恋』攻略ヒロインは三人で、この三人の内で序列は定かでないため、いわゆるメインヒロインが誰かという解釈は三人ともに成り立ちます。が、ちょっと踏み込んでしまうと自分はなぎさ先輩がメインヒロインだと思っていて、それは先に述べた看護師の仕事をシナリオ全体に敷衍させる考えを最もよく表しているのがなぎさEDだからです。


 来月には新要素を追加した『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy(リセラピー)』がPSPとPC版も発売と、図らずもこれからプレイするにはいいタイミングでした。