『戦国コレクション』は黒ロンアニメ

 『戦国コレクション』すごくね?(16話から19話まで観た)

※以下『戦国コレクション』19話のネタバレを含みます。現在Gyaoで無料配信しているので気になる方はまずそちらから。



 『探偵オペラミルキィホームズ』が好きで好きで、ミルキィ好きが騒いでいる印象のあった『戦国コレクション』、わたし気になってました。なるほどミルキィホームズではないにせよミルキィ好きが好みそうなアニメ。

  • 役回りを離れた幸せ?縛られる幸せ?

 『戦国コレクション』において幸福そうな、俗世に塗れたやつらは基本的に戦国時代における自分にこだわりがない。

 これは環境適応能力というか、「役回りを離れた幸せ」だ。

じゃあ何を描こうとしているか。

恐らく、人間の幸せだと思います。

一応(あんまり出て来ませんが)戦国世界に武将たちが戻りたい、という大きな柱はあるものの、戻ることを幸せだと思っているのが今のところのぶながちゃんしかいないんですよ。

武将たちはそれぞれどうやって生きていくのが最善なのかを、ギャグありシリアスありで探します。幸せの大きさはものすごくでかいこともあるし、ものすごく小さいこともあります。
アニメ「戦国コレクション」をの元ネタを探って、もうちょっと楽しんでみよう - たまごまごごはん


 多くの武将らは『聖おにいさん』よろしく俗世に慣れ塗れそこに住み着いている。しかし19話は武将設定はそんなギャグ!だけじゃない!!というのを見せてくれた。19話のメインは明智光秀。明智つながりで探偵役という強引な技をして、なぜか戦国もの(?)でミルキィホームズ以上の推理回を見せてくれるが、そこに止まらない。実は犯人は光秀で、光秀が信長を殺すという史実的な要素が入りこむ。

 「役回りに縛られる」光秀は、ラストみんなお芝居を笑いながらやっている中、一人ガチ泣きの「演技」を見せる。そして夢オチ。メタ構造は重なり真実は闇の中へ――。

 これを受け手はどう捉えればよいのか?

 俺は残酷だと思う。みんながお芝居に慣れきった中、光秀の緊張感は現実のそれでとても生きづらそうだ。あれは一体どこまでが夢でどこまでが芝居で、そして芝居だから夢だからよかったのか? 黒髪ロング光秀さんの苦悩は次回に続く。

  • 孤独と黒ロン

 『戦国コレクション』は終始とんでもなくシリアス回もあればその逆もあり、ギャグ回と思いきやシリアスに落としてくることもあり。各話定型的でなく、受け手のテンションをリードする大きな流れが働いていない。そうした油断のならない造りは例えば『空が灰色だから』の特徴でもある。ミルキィホームズで例えると、トイズや探偵から離れたミルキィホームズも見られるし、トイズや探偵から離れられないミルキィホームズも見られる。

 『戦国コレクション』の特徴は「孤独」だ。ミルキィホームズは(そして大抵の作品は)チームを組み仲間と関わるが、『戦国コレクション』の武将は孤独であることが多い。孤独だからそれぞれが違うし、孤独だからそれぞれが見えてくる。そして誰かと関わろうとして、うまくいったりいかなかったりする。『戦国コレクション』を通して見えるものは、戦国でもコレクションでもなく孤独とそれぞれの幸せで、信長が仲間も競争相手もなく単独行動しているのもつまりそういうことなのだと思う。信長さんのことはよく知らないけど。

 『戦国コレクション』はオムニバス形式で毎回の登場キャラクターが変わるが、この造りは先に述べた信長や光秀の特異性を浮き立たせている。
 他のキャラクターは武将という役割から離れた幸せを見つけているのに、光秀だけは前世の業(?)に縛られている。過去の業を背負う光秀が、「信長を想う気持ちが強いだけに、嫉妬深い一面も」という光秀が黒髪ロングなのはよく考えられたキャラクターデザインだ。それはとても、ある種の黒髪ロング的な生き方である。だからこれは信長と光秀の黒ロン百合アニメに落ち着く、はずだ。『戦国コレクション』19話は髪回だった。