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今週の黒ロン:『断裁分離のクライムエッジ』

今週の黒ロン

 定期的に黒ロン更新を続けていこうというこの企画。何やらずっと続けてきたような書き方をしてみたが何を隠そう今回が初の試みである。「今週の」と付けたけどたぶん隔週くらいに落ち着くんじゃないかな、落ち着くといいな!

 その記念すべき第一回は現在アニメ放送中の『断裁分離のクライムエッジ』。



 第一話で主人公の最初のセリフが「髪、きれいだね!!」(ヒロインに対して)だったことは万民の共感を呼んだが、最後にヒロインの髪を切ってしまったことから「また断髪アニメかよ!」と観るのを止めてしまった方も少なくないと思う。実はヒロインの髪がすぐに伸びるというネタバレは必要だったろう。

 メインとなるストーリーはかつて名うての殺人鬼共が残した殺害遺品。それを手にした子孫共の殺人ゲームに主人公は巻き込まれる……という話なのだが、そのへんは黒ロンが狙われて大変ですね守らなきゃねくらいの認識でOKで、本作の核となるのはむしろパートナーとの共依存的いちゃいちゃだ。

 殺害遺品の所有者は多くが誰かとパートナー関係にあるという、『GUNSLINGER GIRL』『サヤビト』などに代表される共依存パートナーシップバトルの系であり、そのどれもがちょっと近寄りたくない危ない奴らで完全に二人だけの世界に入っちゃってる。もちろん主役の灰村切・武者小路祝の二人もである。

 祝ちゃんの髪は切っても切れない(またすぐに伸びる)呪われた髪で、主人公・切の持つ殺害遺品・クライムエッジでしか切ることができない。祝の劣等感というか自己否定の元である「呪われた髪」を、これまた切のトラウマになっている「髪を切りたい」という社会的にアレな欲望が受けてくれ、この二人でしか在り得ない関係が築かれる。

 という「こいつらもう付き合ってるとかいうレベルじゃなくね?」ないちゃいちゃを見せられるにも関わらず、当の二人は髪の女王を守るというゲームの役割に自分たちを当てはめてしまい、実際ものすごくいちゃいちゃしてるのに二人の関係自体はあまり進んでいないという耳年増の処女のようなバランスの悪さ。こういうのが琴線にふれる人にはふれるんじゃないかしら。

 ストーリーはこのような二人の一見不代替な関係を揺さぶるように動いていき、それを通じて二人が本当の関係を築くように進む。

 切の断髪フェチには黒ロン好きならずとも共感しがたいだろうが、そこに共感できるか否かは大した問題ではない。黒ロンを嫌がっていた女子が自分の黒ロンに誇りを持てるようになる。そういう黒ロン漫画なのだ、これは。

 ヒロインがキューティクルを嫉妬される漫画は『断裁分離のクライムエッジ』だけ!(たぶん)

(追記:また祝ちゃんの声を当てるのが声優界一の黒髪ロングヘア・小岩井ことりさんというのもこれ以上ない適役でよいですね。黒ロンボイス!)