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今週の黒ロン:『星空のカラス』

 先月の第2回将棋電王戦では現役A級棋士三浦弘行8段が電脳ソフトに破れたことが話題となりました。コンピュータの勝利をネガティブに受け止める反応もありますが、将棋に関してファンだけでなく広く注目を集めたことは、後々将棋の世界にも良い影響を与えるものと思います。

 一方、囲碁の世界では井山裕太棋聖が若くして史上初の6冠を達成(現在は5冠)という、かつての羽生善治を想わせる注目を集めています。『ヒカルの碁』以来一般的な話題性には欠けた囲碁界ですが、井山棋聖はその『ヒカルの碁』を読んで育った世代。受け継がれているのではないでしょうか。

 そんな井山棋聖もオススメ。『ヒカルの碁』以来の日本棋院監修の囲碁漫画『星空のカラス』は、なんと少女漫画レーベルから出ています(関連:星空のカラス | 白泉社 - 花ゆめ i-ランド)。


星空のカラス 1 (花とゆめCOMICS)

星空のカラス 1 (花とゆめCOMICS)


 モリエサトシさんと言えば黒い髪と白い肌の対照が美しい『白磁』などで有名。その新作『星空のカラス』の題材は意外にも囲碁ということですが、盤面に黒石と白石が並べられる囲碁というゲームを想えばなるほど。

 囲碁の大好きな少女・烏丸和歌(からすま・わか)が、若いプロ棋士の鷺坂総司に出会い、自分もプロ棋士になることを決意する。
 素人が初めて世界を知るようなゆっくりとした進行ではなく、対局そして対局のスピーディーな展開は、バトルやスポーツを得意とする少年漫画のようです。


 黒ロンに対して何か想いなり理由なりがあると、一層輝きを増す。それを精神の黒ロンとも言います(関連:Togetter - 黒髪ロングの魅力を考える)。

 和歌の「碁を打っていたらいつの間にか伸びてた」というエピソードは、13歳にして大人のような背丈と細く長い手足といった外見と併せて、知らぬ間にすくすくと成長していく子どもの姿が感じられます。

 『星空のカラス』には囲碁の面白さに取りつかれ引き込まれていくような積み重ねの描写は少ないですが、成長の証としての黒ロンがそれを示しているようです。普段は天真爛漫な13歳が、盤上では大人顔負けの真剣な眼差しで勝負に当たる。「君は真剣になったことがないの?」という塔矢アキラの言葉を想い出します。

 「碁を打っていたらいつの間にか伸びてた」という和歌の黒ロンは、憧れる棋士である鷺坂に、碁石で擦れた自分の爪と同じだと共通項を指摘されています。
 このエピソードは手の届かないほど棋力の差があり、なかなか認めてもらえない鷺坂に、囲碁に関して少しだけ認めてもらえたということで和歌の胸に響きます。

 自身は全くの初心者で囲碁のルールも知らない和歌の姉が、囲碁バカの和歌を見かねて生活面でいろいろと世話を見てくれているのですが、この後で「髪、誰かに踏まれたの? いい加減切らないね」と心配する姉に、和歌が「切らないもん……」と主張するのは良い黒ロンシーン。断髪の可能性も否定しており安心できます。
 からの、何も聞かずに「じゃあじゃまにならないアレンジ教えてあげる」と姉。百合ですね。




 黒ロンしか目に入らなくてごめんなさい(反省の色なし)