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今週の黒ロン:『パレス・メイヂ』

今週の黒ロン

 人として生まれ男として生まれたからには誰だって一度は黒ロンにお仕えしたいと志すもの。それが真理でございます。

 とはいえ現実なかなかそういう機会は訪れないもの。そこで本日は黒ストロングの女帝に仕えるという素晴らしい漫画をご紹介します。


パレス・メイヂ 1 (花とゆめCOMICS)

パレス・メイヂ 1 (花とゆめCOMICS)


 『パレス・メイヂ』の主人公・御園公頼は幼いながらしっかりしており、実家の財政難に面し帝の側に仕える「侍従職出仕」として自ら宮殿に上がります。

 そこで使えるのは若く美しく聡明な帝・彰子様。切れ長の釣り目に流れる黒髪ロングストレートがお美しいです私も仕えたい。

 お役目に縛られた偉い方に遊びを教えてあげる主人公……というのが身分違いの恋物語では王道になりますが、この話では主人公の公頼が礼節をわきまえたしっかり者であり、また彰子帝も「ドレスも束髪も苦手」という理由で軍服でいるような、少し羽目の外し方も知っている様子です。

 ただ、遊び相手がいなかった。

 ある事件をきっかけに彰子帝は公頼を知り、他の者とは違った興味を抱きます。二人の「遊び」は公頼が主導するようなものではありませんが、公頼と二人でいる間だけ帝は気が休まり、帝としてでない年頃の子どものわんぱくさを見せることができるのです。良い関係です。

 『パレス・メイヂ』の舞台は架空の世界観ではありますが、基本的には西洋文化の流入してきた明治時代が意識されています。特段宮殿や文化風習の作り込み描き込みがすごいというわけではありませんが、「その時初めて明慈帝の第一皇女で今上帝であらせられる彰子様の龍顔を拝し奉ったのでございます」というような、記述調で過去を振り返るモノローグがよく雰囲気を出しています(龍顔てそんな言葉あったな)。

 「侍従職出仕」が宮殿に立ち入られるのは幼い男子が男性とは見なされていないからで、公頼も成長するにつれその立場が変わっていきます。ストーリーはそんな変遷と地位ある人物の思惑が重なり動いていきます。

 嫉妬愛憎のドロドロした展開や、逆に甘々イチャイチャの展開もなく、身分差の距離を保ちながらも少しずつ近づいていく。読んでいて爽やかな気分になれる漫画です。あと、黒ロンに仕えたい気分になります。なんで弊社の社長は栗山千明さんじゃないんだろう。