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ジョジョの奇妙な黒髪ロング 〜山岸由花子は黒ロング 編〜

今週の黒ロン

 今年もやるぞ!黒ロン祭2013!


 てなことで昨年は『ジョジョの奇妙な冒険』のアニメが好評でしたね。まわりでもあまり漫画を読まない人がジョジョのアニメを見ているようでちょっとびっくりでした。「お、スタンドじゃなくて波紋の話かー上級者だな!」て思って。



 ジョジョは私も好きなシリーズですが、ただ非常に惜しいことに黒ロンが少ない。この点は多くの読者が感じていることだと思いますが、日本だけでなく世界を舞台にしたジョジョには黒ロンが少ないのです。
 その点でリサリサ先生が登場する2部のアニメ化は慧眼でした。今のジョジョブームも黒ロンのおかげと言って過言ではないでしょう。


JORGE JOESTAR

JORGE JOESTAR

舞城ジョジョでは黒ロンのリサリサ先生がたくさん出てくるぞ!


 とはいえさすがに合わせて100巻を超える長期シリーズ。居ないわけがありません。2部のリサリサ先生もそうですし、あとはあとはーストレイツォさんとかジョジョリオンの家政婦さんとか……うん、いっぱいですね。で、今回は残念ながら黒ストロング(黒髪ロングストレート)ではありませんが、シリーズ中特に黒ロンと思う第4部の山岸由花子さんの黒ロン話です。


 ……に、入る前に、先に荒木飛呂彦先生のカラーリングにもふれておきましょう。ジョジョのカラーイラストは生命感あふれる豊かな色使いがされています。そしてこれはカラーを見ていると分かるのですが、ジョジョ複数のイラストを比べると同じキャラクターであってもどれも同じ色を使うとは限らない。規定されたカラーではない即興な塗の魅力があります。そうしたこだわりからもカラーのはっきりした黒ロンを出しにくいのかもしれません。だからそこであえて黒ロンを出すことには大きな意味があると思います。


  • ジョジョの奇妙な黒髪ロング、山岸由花子さん

 始めにジョジョに黒ロンが少ない要因として世界を舞台にしていることを挙げていました。では日本が舞台なら……ということで仙台市をモデルにした杜王町を舞台にする第4部。私事ですが以前は仙台市に在住していたこともあり、4部はシリーズ中でも自分のお気に入りです。



第4部の黒ロン・山岸由花子さん


 山岸由花子さんのスタンド名は「ラブ・デラックス」で、髪を自在に操るスタンドです。4部『ダイヤモンドは砕けない』の「山岸由花子は恋をする」編で登場。メインキャラクターの1人である広瀬康一が好きで、それが行きすぎて監禁までしてしまいます。こうしたジョジョには珍しいラブコメを見られるのも4部のおもしろさですが、それも由花子さんあってのもの。


BREEEEZE GIRL

BREEEEZE GIRL


 黒ロンということもあって登場数のわりには印象が強い由花子さん。スタチューレジェンドでフィギュアも出ていますし、最近でもBase Ball Bearの「BREEEEZE GIRL」PVに起用されたと話題になりました。


 さて『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』で荒木先生はキング原作映画のナンバー1として『ミザリー』を挙げています。


荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)


 『ミザリー』は小説家の男を熱狂的なファンの女性が監禁する設定の映画で、荒木先生は「男が女を監禁する話はよくあっても、その反対の女が男を監禁する設定が珍しいし、それでいて「あんなファンが本当にいるかも」とリアルなシチュエーションになっている」と言います。康一が好きでそれが行きすぎて監禁までしてしまう「山岸由花子は恋をする」編は『ミザリー』のオマージュとよく言われます。ですがそれだけではない。なぜなら由花子さんが黒ロンだからです。



 「山岸由花子は恋をする」編は日本のホラーにも影響を受けています。日本のホラーと言えば髪。髪の恐怖です。ここでジョジョにおいて由花子さんが黒ロンである意味が見えてきました。今もTSUTAYAの邦画ホラーコーナーを見るとたくさんの黒ロンさんがいらっしゃいます。中でも有名なのが『リング』など貞子シリーズ。始まりは鈴木光司さんのホラー小説『リング』ですが、ドラマや映画版も出ており日本ホラーの看板タイトルで、現在も3Dとスマートフォン連携も採り入れた『貞子3D2』が上映されています。


リング (角川ホラー文庫)

リング (角川ホラー文庫)

『貞子3D』では黒ロン白ワンピの橋本愛さんが見られるぞ!


 「山岸由花子は恋をする」編にはなぜかコップに長い髪が入っていたり、あり得ないほど髪が長くなったりするシーンが見られますが、これも日本ホラーの持ち味、つまり黒ロンならではの魅力です。髪という身近な存在が恐怖へ繋がる恐ろしさ。



コップに黒ロン(茶柱が立ってたみたいな意味)


 由花子の戦いで康一は自身のスタンドであるエコーズを進化させます。汎用性の高いエコーズACT2はその後のACT3よりも好きな人気スタンドです。これも黒ロンの愛とぶつかって得た、黒ロンが育てたスタンドと言えるでしょう。

 直情的で迷いのない由花子さんは黒ストレートのように美しい(ストレートではありませんが)。ですがちょっとその愛が押しつけだったようです。この戦いが終った後、由花子さんは「あたしぜんぜん相手にされなくてもいいッ!康一くんのこと思ってるだけで…幸せだわ!」と成長した康一に惚れ直します。それはこれまでの支配の愛からは確かに変わった愛の形なのです。



白ロン由花子さん(髪は大事)


 この後しばらく出番のない由花子さんですが、「山岸由花子はシンデレラに憧れる」編で再び登場します。由花子がまた康一に手を出そうとしているのではないかと疑ってかかる仗助に対し、由花子はそれを否定し「いったい何をしてあげれば康一君が幸せになるのか……わたしにはわからないんですもの……康一くんはまったくわたしの方をふり向いてくれないんですもの……」と言います。



黄昏黒ロン


 自分は「康一くんのこと思ってるだけで…幸せ」。でも「康一君が幸せになる」ために何かできないかと悩んでいるのです。黒ロンですね。

 「山岸由花子はシンデレラに憧れる」編では人相を変えて幸福を呼び寄せるエステティシャン・辻彩から30分の「魔法」をかけられた由花子。ところが由花子は「シンデレラの約束」を破ってしまい……というエピソード。これも康一との関係が大きく動く重要な話です。

 ありのままの由花子を受け止める康一の愛とその康一を信じる由花子の愛。ホラーだったりコメディだったり感じている方も多い山岸由花子編ですが、ラブコメとしてもすごくステキなお話です。やはり低身長男子と高身長黒ロン美女のカップルは良いものです。

 ジョジョと言えば波紋スタンドのバトルですが、第4部では他と異なり、次々と向かってくる強敵との命を懸けたバトルばかりではありません。ディオの血統から離れた杜王町という小さな舞台でそれぞれの生活があり、みんな何かのために戦っている。ラスボスとの戦いでさえその一つです。箸休めのような長期アニメの遊び回のような話が多く挟まり、ちょっと緊迫感にかけているようにも見えます。でも、たまにはこんなジョジョがあってもいいんじゃないでしょうか? 仙台だし。黒ロンだし。



最後に好きな黒ロンシーン


  • 黒ロンの表す想い

 髪は長くなるまでに時間がかかるものであり、黒ロンはその時間も内包しています。時間はしばしば想いの時間を表し、貞子の髪が伸びるのも怨念という想いです。源氏物語でも源氏を想う六条御息所の髪が異常に伸びる描写がありましたが、誰かを想う気持ちを表すこともあり、一途な黒ロンのイメージはこれによるものでしょう。愛にあふれる由花子さんの黒ロンは康一への想いを内包しているのです。
 その由花子の愛の形も2つのエピソードを経て形を変えます。山岸由香子編はそんなラブコメと成長エピソードでもあるのです。

  • おわりに

 大人気だったジョジョアニメですが放送はまだ2部まで。以降のスタンド登場からはさらに独自の世界が展開されます。そして4部アニメ化の際は黒ロンにも注目ですね。それでは9月6日、今年も黒ロン祭でしたー。

  • おまけ(合わせて読みたい)

 日本ホラーの黒ロンとして『死人の声をきくがよい』。ぼくだけが見える黒ロンさんといつも一緒のラブコメです。


君は淫らな僕の女王 (ヤングジャンプコミックス)

君は淫らな僕の女王 (ヤングジャンプコミックス)

 愛があふれ過ぎてやばい黒ロンとして『君は淫らな僕の女王』。由花子さん康一くんはきれいなカップルになったけど……まあ、この二人はこれでいいんじゃないでしょうか。