今週の黒ロン:『甘々と稲妻』

 『甘々と稲妻』1巻発売からしばらく経ちますが、書店でもまだ並べられていて好調のようです。が、1巻表紙には黒ロンがいないため、もしかしたら黒ロン漫画とは知らずスルーされた方もいるかもしれません。表紙に出ないくらいだから大した黒ロン漫画じゃないんだろう?
 いえいえ今年のブラックロングストレート賞(※ゴールデングローブ賞とかそういうやつ)最有力候補の1つであります。


甘々と稲妻(1) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(1) (アフタヌーンKC)


 私の料理スキルが低すぎることもあって、他の料理系漫画では料理パートが読者に対して説明する料理うんちく部分として浮いて感じしまうのですが(というかそういうジャンルなんですが。料理ものって)、その点『甘々と稲妻』はめちゃくちゃ初歩レベルから始まるので安心です。どのくらい初歩かと言うとご飯は炊けないわ包丁も握れないわ卵焼きも作れない。でも、そうした素人が初歩から歩み始めるところが子育てを通じた親子+黒ロンの成長ストーリーと見事に調和しています。
 だからこれは料理漫画ではなく、どちらかと言えば疑似家族系や子育てものに寄った漫画です。


 最近は安い外食チェーンもあり、カロリーや栄養バランスの良い(と謳った)商品もごろごろ出ています。趣味や楽しみでやっているのを除いて、基本的には自炊のメリットって昔より減っているように感じます。働いてるとなかなか時間もかけられませんし。かくして今日も自分で料理をしない男性は増えております。

 主人公・犬塚もその類で、小食で痩せ型の今よく居そうな男性です。私も小食かつ面倒くさがりなんで分かりますが、自分だけなら足りて必要性がないために全然料理を覚えないのですね。
 ところが子ども・つむぎはそうではありません。コンビニ弁当ではなく、半年前に亡くなった妻が居た頃の食事を求めます。
 それは特定の料理を指すのではなく、誰かと一緒に食べること。妻が亡くなってから娘と一緒に食事を摂ることも稀になっていたことに犬塚は気付かされます。


 そこに現れるのは黒ロン女子高生・飯田小鳥さん。小鳥も多忙な母親からかまってもらえず、「自分で料理をできるようになりたい」「誰かと一緒に食事をしたい」と思っています。かくして利害の一致から三人は一緒に料理をして食事を取るようになります。

 三人とも拙い料理スキルながら一所懸命に料理をがんばります。どれも豚汁やハンバーグといったごく簡単な料理で、それでいて当然失敗もあるのですが、その様子がなんとも微笑ましいです。

 高級なすごい料理でなくても、自分たちの手で作ったものを黒ロンと食べれば何でもおいしい。こんな風景がまだ日本にあったんだな、と思わされます。まあ、漫画の中なんですが。

 ……黒ロン女子高生に「私とごはんをつくってたべませんか?」と言われるすてきな漫画は『甘々と稲妻』だけ!


甘々と稲妻/雨隠ギド - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ
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