パンケーキをめぐる冒険 ~bills編~

 「世界一の朝食」と名高いbills。その表参道店にやって来た。

 店に着いてまず驚くのは行列に並ばなくていいことだ。

 表参道は早朝から呆れるほど長い行列を作る有名店ぞろいで、billsはその中でもトップクラスの一店だが、店まで行くと次に入れる時間を指定され、その時間までは店で待つ必要がない。つまり並ばなくていい。たしか電話予約できる時間帯もあったはずだ。


 billsは店の雰囲気がとても良い。高層にあることもあってか、日常と切り離された空間作りが見事だ。

 店内は窓が大きく、7階からの景色が良い。壁は白く上品で、しかし高級レストランのようなお金持ちのための空間とはちがう。辺りには本棚やソファといった家庭を想わせるアイテムがいくつも配置されており、映画で見る外国の家のようだ。

 パンケーキがおいしいのは幼少の頃よく休日に食べていた楽しい想い出とリンクしているからという説があるが、パンケーキが家庭で簡単に作れるお手軽料理でありながらその食べるシチュエーションが重要なのはそのためだ。

 billsの広々とした上品で家庭的な空間は、その幼いころの記憶を美化し上書く一級のファンタジーだ。


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 そこでは子どものとき食べたホットケーキがパンケーキに上書きされる。厚いパンケーキがメインの最近のパンケーキブームとは一線を画し、billsのパンケーキは薄くカリっとした食感。店の雰囲気通りに上品なパンケーキだ。ボリュームも少なめで一口一口を楽しむことができる。


 誰かの言葉を借りてまとめると、この店はパンケーキを食べるに値する。