今週の黒ロン:『花とアリス』

 テレビ放送していたので久し振りに観た。もう十年前の映画だけど良い黒ロン映画。少し前に断髪した女優の蒼井優さんがまだ黒ロンのときで。
 実は観たことあることを忘れていて「そういやいつか観ないとと思ってたんだよなー」とテレビを付けたらなんか観たことあるぞこれってなった。

 全体的にコミカルな会話劇が多くて、今のドラマなら漫画的な演出効果を入れてわざとっぽくする感じの。それが自然に溶け込んでいるので、面白いというだけでなく今時(十年前だけど)の若者の会話として成り立っている。そしてそれが表面的な会話に終わらないよう、人物それぞれの背景もしっかり見せていて、やっぱりいいなあと。


花とアリス [Blu-ray]

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 観たことあることは忘れていたけど内容は全部覚えていて。印象的な、というか好きなシーンが多い。

 アリスと父親の会話。真正面からはぶつかることができず軽口を交わす他ない親子がそれでもその中でだんだん分かりあっていくのが見て取れてすごく好き。万年筆の話を今も思い出す。
 雨のシーン。そもそもなぜこの雨が降っているのか?悲しいことや悔しいことがあった時に振り出すような、作劇的な効果として降る雨なら、実際に衝突が起きるこの後のシーンの方が合っているはずだ。ここではその前の予兆として不和が生じかけるところで、確かにこの映画が男女の三角関係より百合なことを考えるにここも衝突と言えなくもないのだけど、ただただそういうお約束を外して降る雨がなんだか自然なようで好きだった。
 そして最後のバレエのシーン。美しい。息を飲む美しさ。音楽も良い。シーンとして切り出しても充分きれいだけど、ここまで練習の場面や花との過去にバレエがあるのを知っているから、最後にこれを持ってこられると魅入る。蒼井優さんが天真爛漫で元気な女子を演じていてすごく黒ロンなのだけど、ここではスローモーションでバレエが流れるので特に髪の動きが映える。
 今日はあまり観ている人がいなかったけど、良い黒ロン映画なのでぜひ。