高校3年生からの中二病サッカー 『夕空のクライフイズム』

 以前より『BE BLUES!』の次に来ると注目していたサッカー漫画『夕空のクライフイズム』の単行本が出ました。


夕空のクライフイズム 1 (ビッグコミックス)

夕空のクライフイズム 1 (ビッグコミックス)


 ヨハン・クライフ監督の「美しく敗れることは恥ではない」を掲げ、勝利を目指すのが基本のスポーツ漫画においてそれとは真逆なまでの目標(引退試合を美しく敗れること)を掲げているコンセプトがまず革新的です。

 子どもたちが保護者なり指導者なりに見捨てられて大人を信用できなくなっている、大人に対して期待もしなくなっている現代、子どもが大人であることを強いられるという舞台設定は様々な物語に見られます。『夕空のクライフイズム』の木登学園高等部のサッカー部面々も、ある日突然監督が別の高校へ移り、つまり捨てられます。



 その部員らに対し、新監督は「人生往々にして、こんなモンですよ」と非常にあっけらかんとしています。この、奇抜で真摯なコンセプトを飄々と描いているのが『夕空のクライフイズム』の特徴で、面白い。そして高校3年生という岐路に立たされた彼らに示されるのが中二病なクライフイズムというギャップ。

 この奇抜さおかしさだけで全然面白いですが、さらにスパイスとして効いているのが随所に出てくるサッカーうんちくとヒロインの存在感の2つ。

 クライフ監督についてはもちろん、様々なサッカー選手のうんちくが出てきて著者のサッカー好きが伝わってきます。もちろんネタとしてはどこがポイントなのか作中で説明しているので知らなくても楽しめます。

 そしてヒロインにしてコーチである雨宮雨ちゃんの存在感。決して身体をリアルに感じさせる細かなデザイン絵ではないのですが、自身もサッカー経験者であるため太ももが太いという設定に妙に説得力がありキャラクターの身体性を強く感じさせます。



 サッカーおたくで目をキラキラさせて話し出したり、あと常にチュパチャップスを咥えていたりでとてもかわいい。



 ところで今一番桜庭さんが面白いサッカー漫画『BE BLUES!』でも2度クライフの名が出てきます。

 1度は5巻40話の中学時代。大ケガから復帰して平気そうな龍ちゃんだったが、その内には葛藤があった……その記録であるサッカーノートを優人が見つけてしまう回。このきっかけとなったのが、優人が龍に貸していたクライフの本を取りに行くことでした。



 そして1巻6話の小学校時代。FC加賀谷戦で今中が失敗したクライフターンを桜庭さんが見事に成功させ龍を抜き去ります(その後すぐDFによりカット)。



 雨宮雨ちゃんも今中じゃなくて桜庭さんのクライフターンを見ていたらさぞ尊敬したことではないでしょうか。

 ちなみに13巻で九重が桜庭を見て「ヤツぁベルカンプかよ」と尊敬していますがベルカンプもクライフ監督の元でプレーしていたようです。



3分15秒からのプレーが桜庭さんのモデル?