『探偵歌劇ミルキィTD』のバラエティ番組っぽさ

TDの見所を教えてください!
橘田:やっぱりバラエティ番組っぽい感じです(笑)
(東京MX広報誌キュートン2014冬号より)

 『探偵歌劇 ミルキィホームズ TD』始まりました。これで今年もがんばるぞい。

 冒頭に橘田いずみさんの言葉を引用したが、自分としてもこのミルキィTDを最も短くまとめると「やっぱりバラエティ番組」となる。流石、餃子評論家としても活躍する橘田いずみ氏だけはある。

 以下、順を追ってこの「やっぱりバラエティ番組」について説明する。

 オープニング。昨年末の先行放送では流れなかったため昨日が初公開となるオープニング「ミルキィ A GO GO」だが、とてもノリが良いタイプの楽しい曲である。歌詞は「今日も時間だ 皆集まれ ミルキィ劇場」から始まり、この後も「お茶の間もご一緒に盛り上がろうよ ミルキィ A GOGO」など、視聴者に語りかけるような言葉が続く。

 加えて映像では、歌詞のリズムに合わせてミルキィホームズが歌ったり動いたりといった描写がある。これは過去のミルキィシリーズから数えてもおそらくサマー・スペシャルED「パーティーパーティー!」以来の珍しい演出である。単体では注目するほど大きなポイントではないかもしれないが、先に挙げた歌詞の内容や本編も含めると、ミルキィTDはテレビの前の視聴者を意識した構成・演出がされていると考えられる。オープニングに入る直前、アバンのシャロに対するツッコミや「私たち、探偵です!」も作中の誰かに向いているのではなく、明らかに視聴者に対しているからだ。さらに以降、本編の進んでいくと「テレビの前のみんなはマネしちゃいけません」という確定的なセリフが出てくる。

 過去のシリーズでもギャグ目的のメタ発言めいたものは見られたが、ここまで視聴者に向いたものは例がない。ミルキィTDの特徴と言って間違いないだろう。

 ではこの作りが何を意図したものか?という話に続くわけだが、ここで「やっぱりバラエティ番組」に戻る。

 wikiにはバラエティ番組は「歌・コント・コメディ・視聴者参加型の企画などのいくつかの種類の娯楽を組み合わせたテレビ・ラジオ番組のこと」とある。

 全編を貫くメインのストーリーよりは、各話ちがった色を出すことで「次にどんな楽しみが来るのか?」というミルキィは確かにここで言うバラエティ番組に近いものがあり、それは過去のシリーズを振り返ってそうであった。それが「やっぱり」の部分だ。

 シリーズ毎にキャラクターや舞台設定を微妙にずらしているのも、タイプのちがった楽しみを出すために世界観とテイストを合わせていたからだ。とすれば、ミルキィホームズというシリーズがひとつのバラエティ番組とも言える。そこに、今回のミルキィTDも入っている。やっぱり。

 TDがバラエティ番組を目指したものならば、先に見た視聴者を意識した構成や演出もそのためと考えられないか。

 wikiではバラエティ番組は「視聴者参加型の企画などのいくつかの種類の娯楽を組み合わせた」と具体的に挙げられたが、メタなネタで笑いを取る目的ではなく、視聴者を意識した演出は、この「視聴者参加型」に近い楽しみを狙ったものと考えられる。

 もちろんアニメに視聴者が参加するというのは無理な話だから、ここでは特撮番組を見て必殺技をマネしてしまうような、スポーツ番組を見て選手を応援してしまうような、そんな「没入」のレベルで考えてもらいたい。

 そのために事前から、アニメ外部で打たれた布石もある。スマートフォンアプリ「トイズドライブ」の配信だ。トイズドライブは歌が奪われた世界でトイズを用いそれを取り返すストーリーのブシロードが製作したゲームである。ミルキィTDと似たストーリーであり(余談だがTDとはトイズドライブの略ではなく「とってもどっひゃ~ん」である)、またミルキィホームズに登場するキャラクターも出てくる。アプリ配信だけなら昨年でも可能であったはずだから、このタイミングでの配信はミルキィTD世界に視聴者を没入させる目的もあると睨んでいる(若干確信度合いが落ちるのは筆者が未プレイだから)。今後アニメの展開に合わせたイベント等があるのではないか。

 さてここまで見てきた通りミルキィTDのバラエティ番組っぽさが目指しているものはおそらく、テレビの前の視聴者も(ミルキィホームズと、他のキャラクターと、また別の視聴者と)一緒になって楽しめるアニメだ。

「お茶の間もご一緒に盛り上がろうよ ミルキィ A GOGO」
(『探偵歌劇 ミルキィホームズ TD』OP「ミルキィ A GOGO」)

 ミルキィTDがその通りわれわれのために視聴者を没入させるようがんばっているのなら、視聴者としてわれわれができることはミルキィTD世界に全力で入り込み楽しむこととブルーレイディスクを購入することだけだろう。

 昨年大ヒットしたテレビアニメ『妖怪ウォッチ』では大人しかわからないような小ネタをちりばめることで子どもだけでなく親も一緒に楽しめるようになっていると聞く。ミルキィTDも過去のシリーズ同様、核の話は全く複雑でなく年齢を問わず、また一方でネロの「まともな大人はネットで若い女の子を謝罪させるようなことはしない」など、大人に向けた社会風刺ネタも既に出てきている。

 なんだかんだで2010年から始まったProject MILKY HOLMESも5年目。初期からのファンとしては妖怪ウォッチとまではいかなくとも、ファミリーコンテンツとして受け容れられるミルキィホームズというのもぜひ見てみたい。

 以上、バラエティ番組っぽさに注力したために他に書き切れなかったことも多いが、それは以降の感想(伏線)で書きたいと思う。