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今週の黒ロン:『瑠璃宮夢幻古物店』

 なぜ古物店の女主人は黒髪ロングなのか?

瑠璃宮夢幻古物店 : 1 (アクションコミックス)

瑠璃宮夢幻古物店 : 1 (アクションコミックス)

美人店主・瑠璃宮真央が営む、静かな住宅街の片隅にひっそりと佇む古物店。
近代物から古作まで幅広く取り扱うその店にやってくるのは、地味で冴えない女、愛妻を亡くした男、友達が出来ない少女…。
呼応するかのように品物を手にしては店を後にする。しかし、その古物たちの取り扱いには十分な注意が必要だった…。
奇妙な力を秘めた古物を手にした客達が向かうのは、天国か地獄か。謎の美女と古物が誘うホラーサスペンスストーリー。


 最初に抜群の黒ロン美人描写を確認してご安心ください。画像を見てもらえば一目瞭然。丸っこい顔でぱっちり目の柔らかそうな女児と、切れ長の目でシャープな顔立ちの凛とした美人である真央の描き分けがされております。


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 お話は類似の作品を挙げるなら『世にも奇妙な物語』・『笑ゥせぇるすまん』などなど。
 後味の悪い話で締めることで印象を強く残すこの手の話では珍しく、後の話で前の話の登場キャラクターの後日談が描かれるなど悲劇的な結末にもフォローがされています。そのためダークな後味の悪い話の方が多いのは確かですが、そこから受ける印象よりはずっと読みやすいはずです。

 そして連続したストーリーが展開される中で、あるとき受け手の中でシフトが起こります。「不思議なアイテムを手渡され悲劇に陥る人々の物語」から「人々を悲劇に陥らせる不思議なアイテムを何の気兼ねなく手渡している女店主の物語」に。ダークな1話完結ストーリーから連続したキャラクターものとしての広がりを見せていきます。

 店主の瑠璃宮真央(るりみやまお)は未だほとんどそのプロフィールを明かしておらず、また奇妙なアイテムもただのツールと割り切っており、誰かの手に渡った後はそこからどうなろうと関与しません。そこに人間らしい感情を読み取れず、上位存在の感まで匂わせます(つまり「なぜ古物店の女主人は黒髪ロングなのか?」に対する答えは「黒ロンは上位存在だから」でどうでしょう?(なにがどうでしょう?))。

 特に1巻終盤は先に挙げた「後の話で前の話の登場キャラクターの後日談が描かれる」に加え、真央のプロフィールが少し見え、彼女を相対化する新キャラクターも現れ、前述したキャラクターものとしての広がりを強く感じさせる展開です。

 平凡な生活を送っていた人々があるとき不思議なアイテムを手にしてしまったがためのダークなホラーな話を重ねることで、それを背景にした真央の、周囲の人間の悲劇にも動じない怪しげな黒ロン美人というキャラクターがどんどん強くなっていく。『瑠璃宮夢幻古物店』、良い黒ロン漫画です。

作品紹介 | 月刊アクション

 一話試し読みありました。