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木々津克久『兄妹』で気になったコマ

 木々津克久さんの『兄妹』2巻が発売されました。女子高生の妹と元警察官・現ガイコツ幽霊の兄とが組むミステリもの。
 木々津さんの漫画はどれも好きですが今作は特に。過去作でも見られるホラー・ギャグ・ミステリ・人情もの・社会風刺などなどのバランスがとても良い一作で、木々津さんの漫画を読んだことのない方にまずおすすめしたいものです。連載中の作品でまだ2巻が出たばかりというタイミングも良いですし。



 以下、『兄妹』の内容にはふれませんが気になったところがあるので少しだけ。


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 上の引用ページ。偶然にもこの漫画の内容を紹介するに最適のページを選んでしまいましたが、それとは別に注目してほしいのはページ最上位置のコマ。枠を超えて切れており、スクリーントーンが貼ってあるだけです。これ、文脈から察するに時間経過を表したり、回想シーンに入る前に一拍置いたりするコマのようです。文章記号で言うと「………」「―――」みたいなもの。

 『兄妹』は、また前作『名探偵マーニー』でもこういったコマがわりと頻繁に出てきます。
 これを応用したものが1巻のP133。左下のコマに注目です。


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 このページをめくったP134の最初のコマにも時間経過を表すコマがありますが、P133に置くことで続くコマの間に時間経過があることを読者がページをめくる前に予め分かるメリットがあります。

 これ木々津さんオリジナルというほど新しい表現とは思えませんが、家の近くにあった漫画10種類をチェックしても1つも使われていなかったくらいには珍しい表現ではあると思います。もっと洗練されていくと皆川亮二先生の「皆川フェード」みたいに何か名前が付くかもしれませんね。

 なぜこれが『兄妹』でよく使われているか、また他の漫画で使われていないか考えていましたが、『兄妹』は少ない連載ページの枠でミステリをやっているため文字やコマを詰め込んでいるところが多く、他の漫画であればもっと贅沢にコマをとって分かりやすい場面転換ができたところをこのように省略しているといったところでしょうか。

 初見の方には無理に詰め込んでいる漫画というような印象を与えてしまったかもしれませんが、実際は無理に1話完結に収めず連続エピソードも多いため過去作と比べても読みやすいです。あとは繰り返しになりますが外見不気味なガイコツ兄貴もちょっと間抜けで妹大好きなのが愛らしく、ホラー・ギャグ・ミステリ・人情もの・社会風刺などなどのバランスがとても良い。木々津さんの新作としても今年の新作としても注目しています。