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「黒髪ロングは美人しか似合わない」なんてウソ

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  • 「黒髪ロングは美人しか似合わない」は間違い

 9月6日は黒髪ロングの日です。なんですが、どうも世の中には「黒髪ロングは美人しか似合わない」と信じている人がいるようです。「いるようです」、……本当にいるのかな?というのが正直な感想なのですが、「黒髪ロングは美人しか似合わない」と言われていることは確かなので、9月6日は黒髪ロングの日を記念して考えてみたいと思います。


 早速ですがこの話は長くなりそうなので先に間違いの部分だけ書いておきましょう。

 「黒髪ロングは美人しか似合わない」と言う人は、「他の髪型は美人でなくても似合う」と考えているのかとゆーと、そんなことはないわけです。
 個人の似合う似合わないは別として一般的な意味で「そこまで容姿に自信がなくてもワンランクかわいく見える魔法のヘアースタイル」なんてものがあったら、街中の女子高生はみんなそのヘアースタイルにしているはずですし。

 だから「黒髪ロングは美人しか似合わない」は「俺が見た黒ロンのかわいい子はかわいかったけど、かわいくない子はかわいくなかった」程度の意味で、解体すると「黒ロンの美人は美人だけど黒ロンの不美人は不美人」という当たり前なことしか言っていない発言になります。

 ここで問題はなぜ、こんな他のどんなヘアースタイルであっても同じ当たり前のことが黒ロンにだけ言われるようになったのか?という方です。


  • 「黒髪ロングは美人しか似合わない」はカウンター

 そちらを考えるにあたって「黒髪ロングは美人しか似合わない」は、なんらかの状況なり発言を受けた反応であること。すなわちどういった文脈で「黒髪ロングは美人しか似合わない」が使われるのかに注目します。

 個人の体験としては、「「黒髪ロングは美人しか似合わない」って言われてるから~・言われてるけど~」ではなく、「黒髪ロングは美人しか似合わない」は、インターネットでしか見たことがありません。

 例えば髪型について話題が挙がった際のコメント欄や2chまとめブログなど。そしてシチュエーションも決まって、そういった場で黒ロンが話に出たときに限られます。

 つまり「黒ロンは美人でないと似合わない」は黒ロン美人がちやほやされるような、黒ロン人気に対しての発言で、黒ロンの特別な人気を受けて、そのカウンターとして「黒髪ロングは美人しか似合わない」が出てきた、と推測できます。

 その心は「黒ロン美人は美人のようだが、美人以外の黒ロンは美人ではないじゃん」と。これがいまいちなカウンターなのは既に説明した通り。


  • ではなぜ、黒ロン美人は特別に人気があるのか?

 ぼくはインターネットで女優さんの画像の2chまとめを見るのが好きなのですが、そこではやたらすっぴんに拘りがあったり整形疑惑を騒いだりといったコメントがよく見られます。

 化粧や整形を嫌い、自然さを求める。このナチュラルさを求める傾向が、黒髪でストレートのロングヘアを好む要因ではないか。

 そのへん調べたブログを見つけました。

1.色や形が自然であることを求めるのは「ナチュラルメイク」を好む理由と同じ。そこに国境はない

どうして男は黒髪ストレートの髪が好きなの?調査してみたよ② - こむの頭の中


 その他引用ブログの見解も面白い。

nisanuesiu.hatenablog.jp

nisanuesiu.hatenablog.jp


 黒髪ロングのナチュラルなイメージについて補足するなら、艶やかなロングヘアーを維持するのは大変で、実際はナチュラルなどとんでもない、努力の賜物ということです。

 つまりそのナチュラル感から生じた黒ロンのイメージも、実際とはズレがあるはずです。ここは、実在の黒髪ロング女性を見る上で気をつけないといけないポイントでしょう。


  • 黒ロンは美人属性も内包する、そしてフィクションがイメージを促進する

 「黒髪ロングは美人しか似合わない」が言われる理由として、フィクションにおける黒髪ロングのキャラクターが美人属性を内包している。両者の重なりが非常に大きいことが挙げられます。

 理由は一つでないでしょうが、前項で引用したナチュラルさ、いじってなさを求める傾向が基にあり、「いじってないのにかわいい⇒元スペックの高い美人」「いじることを許されない⇒厳格な家庭での育ちの良さ」、「いじらない⇒古風なイメージ」などと発展していったからでしょうか。実際にフィクションにおける黒ロンキャラの描かれ方を見ると、確かに周りの女子よりもランクが上の美少女として扱われているケースが圧倒的に多いです。

 実在の女優さんやモデルさんにしても同じことが言えます。常に人に見られる職業においてずっと断髪・染髪しないでやっていけるのは余程の覚悟なり拘りや資質も必要でしょうから、黒ロンのイメージが強い(長く黒ロンでいる)女優やモデルの方にもすごい美人なイメージが付くのもわかります。

 こうした状況も確実に「黒髪ロングは美人しか似合わない」が言われる土壌にあります。

 黒髪ロングが美人属性を内包することで、黒髪ロングと美人がセットになってしまい、より「黒髪ロングは美人しか似合わない」が発せられやすい状況が出来上がっています。


  • 渋谷凛はなぜ黒髪になったのか?

 唐突に脱線しますが、ここまで来れば「渋谷凛はなぜ黒髪になったのか問題」にも答えが出そうです。

 現在放送中のアニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』の人気キャラクター・渋谷凛。おそらくは今期アニメにおける最も人気のある黒髪ロングで、夏コミカタログのサークルカット一覧が全て渋谷凛なんてページもあったくらいです。
 ところがこの渋谷凛、ゲーム段階では茶髪でした。黒髪はアニメ版で変更されたものです。
 ピアスで制服をやや崩して着るタイプの渋谷凛は、その外見からは茶髪ぽい感じも受けます。
 しかし実際は不良なわけではなく良い子で、美人系で黒ロンとの相性も良い。ストーリー的にも元々アイドルを目指していたわけではない普通の女の子がゼロから発進するという、黒髪の飾ってなさとイメージが合うものだったことから、黒髪へと変更されたのではないかと考えています。脱線でした。


  • 「黒髪ロングは美人しか似合わない」の解体

 ここまで「黒髪ロングは美人しか似合わない」の背景を見てきました。
 ここからは「黒髪ロングは美人しか似合わない」を解体していきます。

 まずは「黒髪ロング」について。ここで言う「黒髪ロング」とはおそらく黒髪ストレートロングを指しているはずです。
 が、「黒髪ロング」はそれだけではありません。ウェーブやパーマ、ポニーテールに三つ編み。もっと言えばストレートロングでもぱっつん、姫カット、ワンレンと様々。つまり「黒髪ロングは美人しか似合わない」における「黒髪ロング」は限定されている、ということ。

 次に「美人」。どういった、またどれくらいの美人なのか。
 女性の容姿を褒める言葉は大きく「美人系」か「かわいい系」か、もっと言うと「美人(客観)」か「かわいい(主観)」かに分かれます。「美人(客観)」はモデルや女優さんなど多くの人がきれいと感じる人、「かわいい(主観)」は客観美人のタイプではないが、その人の主観でかわいいと感じる人。
 そして「黒髪ロングは美人しか似合わない」は前者、「美人(客観)」を意味しているものと思われます。しっかり美人て言ってますし。
 なので当然ハードル高い。

 でもじゃあ「かわいい(主観)」の黒髪ロングはダメなの?と聴かれたら、きっとそんなことはないわけです。「黒髪ロングは美人しか似合わない」発言において、主観視点はあまり意識されていないだけで。
 なぜか? 「黒髪ロングは美人しか似合わない」発言は、見る人と見られる人以外の人も居る状況で出てくるものだから。前述の通りインターネットの発言だからです。そこでは特定個人の視点よりも世間がどう思うかが優先されます、ザ日本人思考です。

 最後に「似合わない」。これは始めに見た通りです。似合う似合わないは各人の問題なんで、少なくとも他の髪型と比べて黒ロンは特権的な美人しか似合わない髪型ということはないはずです。普通に黒髪だった頃は、ロングヘアは誰にでも似合う無難な髪型という扱いだった話も聞きますし。

 まとめ。「黒髪ロングは美人しか似合わない」は正しくは「黒髪ストレートロングは客観的に美人な人しか似合わない」になります。そして間違いです。


  • 「黒髪ロングは美人しか似合わない」は間違いだが……

 色々な観点から見てきたように、「黒髪ロングは美人しか似合わない」は間違いです。

 しかし、あるいはそして、やはりぼくたちは黒髪ロングの美人が大好きです。「黒髪ロングは美人しか似合わない」は逆に解釈すれば黒髪ロングの美人は評価していることになりますから。

 黒髪ロングの美人を愛するがために「黒髪ロングは美人しか似合わない」が出てきたとすれば皮肉なことです。「黒髪ロングは美人しか似合わない」によって「かわいい(主観)」黒髪ロングも切り捨てられてしまうのですから。



 和遥キナさんは黒髪ロング好きのイラストレーターさんで、「美人(客観)」の黒ロンより「かわいい(主観)」黒ロンを好んで描く方です。「黒髪ロングは美人しか似合わない」的な風潮に反対するのも頷けます。

 「黒髪ロングは美人しか似合わない」は間違いです。
 ところが、そう言われていると知るとどうしても言葉に引きずられてしまいます。「黒髪ロングは美人しか似合わない」と、本当に思い込んでしまう危険があります。そして「黒髪ロングは美人しか似合わない」により「かわいい(主観)」黒ロンまで失われてしまう。「黒髪ロングは美人しか似合わない」は想像以上に根が深い問題のようです。


  • それでも黒髪ロング美人が好きな日本のわたしたち

 いい感じにまとめてしまって何ですが、それでもやっぱり黒髪ロング美人は好きなんですね。黒髪ロングだけでも美人だけでもない。黒髪ロングと美人の調和は、黒髪ロングの美人イメージと相俟って特別なものになります。
 「美人(客観)」をとるか「かわいい(主観)」をとるかは、容姿の好みよりむしろ距離感の問題と思います。「かわいい(主観)」は付き合いたい・愛でたいといった関係性を求める傾向があるのに対し、「美人(客観)」は関わりを求めない、鑑賞したいといった距離で見ています。「美人(客観)」の、それも黒髪ロングの美人は、そういった距離感を好む者にとって非常にうれしいものです。
 黒髪ロングの美人系イメージは「美人(客観)」に、ナチュラル感は「かわいい(主観)」にマッチしています。どちらに重きを置くかはもう好みの問題でしょう。2つが完全に分離しているわけでもありませんし。

 まとめ。「黒髪ロングは美人しか似合わない」わけではないけど、黒ロン美人いいよね。


  • おまけ

mercury-c.hateblo.jp

 その他ぼくの考えはここで書いてます。

 それでは良い黒ロンの日を。