今週の黒ロン:第年秒『5秒童話』

 ジャンプ+の新人作品で、著者は中国人の方のよう。主人公の童が何者かによって高層マンションから落とされ、落下するまでに流れるゆっくりとした5秒間を描いた漫画。


5秒童話 (ジャンプコミックスDIGITAL)

5秒童話 (ジャンプコミックスDIGITAL)


 落下するまでの間に窓から見ることになる各階住人の秘密が次々明らかになるという連続エピソードであり、その中で「主人公を落とした犯人は何者で動機は何なのか?」「主人公はどうなるのか?」という2つの大きな謎も見えてくる。良く練られた伏線と構成で緊張を維持したまま読ませます。

 とりわけここで絶賛したいのはハイライトのない黒髪ロングストレートのキャラクターが出てくることでしょう。


f:id:mercury-c:20151004203821j:plain
(見よこの圧倒的黒さ!)


 ハイライトのない黒髪ロングストレートのキャラクターは、描く際に負荷となるという理由もあってかなかなか珍しいです。そしてそれだけに、しばしば何からの意味・効果を意図して登場します。

 ストーリーとキャラクターを完全に分けて語ることは困難ですが、今作に関してもハイライトのない黒髪ロングストレートの登場がサスペンスやミステリ-の観点からも活きています。
 特に目にハイライトを入れないことは、クールな大人びた印象を与えるとともに表情を読み取りにくく「何を考えているか分からない」というイメージにもつながります。それがストーリー上、二重三重に活きてくるわけです。具体的に書くと内容にふれすぎるため止めますが、読めば分かります。

 このワンレングスの黒ロン、名前を何了了(カリョウリョウ)と言いますが、彼女のエピソードを中心に考えると、むしろ始めに挙げた伏線と構成自体がミスリードであったのではないかと。そういう風に考えられます。そしてこれがまさに黒ロン漫画だなぁとしみじみ感じるものでした。著者は既に次作を連載中ということで、今後もこういう黒ロンを描いてくれないかと注目しています。