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今週の黒ロン:『リクドウ』

今週の黒ロン

 恵まれない家庭で育ち、幼くして両親と別れ、児童養護施設に移ってからも自分のせいで周りの人が不幸になっていく不幸を経験した少年・リク。自らの無力さを痛感し、力を求めるリクはボクシングに出会い、生きるためにボクシングを始めます。


リクドウ 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

リクドウ 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)


 ヤングジャンプ連載中の『リクドウ』は新人の初連載とは思えない程に完成された画力に漫画としての巧さが加わった、期待の漫画です。ヤンジャンは『ゴールデンカムイ』のスマッシュヒットがあり藤崎竜の『銀河英雄伝説』も始まり、今年も勢いがありますね。

 目の前に色々な道が開かれており、やるべきことが定まらない話が今時の主流ですが、対照的に孤独で寂しく命懸けで誰に喜ばれるわけでもない、それでもこの世界でしか生きられないというお話も確かにあります。
 この平和な時代に命を失うリスクがある戦いに身を投じる点で格闘技ものは後者に偏りがちで、ここが他のスポーツものと一線を画すところだと考えています。
 こういう特殊な話は主人公の根幹となる部分の描き方がかなり重要となります。そこが弱いとその後の話にも影響があるからです。『リクドウ』はその主人公の過去のドラマがえぐく、根幹に説得力を持たせた上で一気にボクサーの道を進んでいく展開は今なお勢いが止まりません。


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 そして『リクドウ』には苗代ユキという黒ロンがいて、この娘がとてもかわいいです。と、いう点はあまり言ってる人を見ないので俺が言及せねば……とずっと使命感を抱いておりました。
 ユキは幼い頃に両親と死別し、リクと同じ児童養護施設で育った、リクの幼馴染です。リクと一緒に居たいがために里親の依頼を全て断って養護施設に留まり、「人殺し」のリクと一緒に居るがために周りからいじめの被害を受け、それでもボクシングに集中するリクからは一向にかまってもらえない。ユキはそんな、特段恋のライバルがいるわけでなし全く報われないヒロインになっており、『リクドウ』がままえぐい展開になることもあって、ユキはこれからどうなることやら目が離せない黒ロンです。
 ユキの戦いは命を失うリスクはないにしても、リクのボクシングと同じく、孤独で寂しく報われず、それでも別の道を選べないものです。『リクドウ』はボクシングがメインなこともあって比較的ユキの出番が少なく、ヒロイン目当ての読者としてはやきもきさせられますが、そんな出番の不遇さもまた彼女の境遇の不遇さと重なるものです。

 ユキとリクが進む過酷な道。『リクドウ』がどうか幸福な道となるよう願って。そしてそれは少しずつ現実味を帯びてきているように思えるのです。