株式会社を退職します。

 タイトルの通りですが、このたび退職の運びとなりました。

 世間では某社の内定取り消し事件なども騒ぎになっていますし、転職先の採用担当を名乗る人物の詐欺という可能性もまだありますので確実とは言えませんが、たぶんおそらく。

 もう上にも話を通しているので、いつかの誰かよろしく社長に懐柔されるようなことにもなりません。引き留められるほど重要なビジネスパーソンでもありませんし。


 さて世間では大卒内定率が非常に高いようで、就職・転職活動は売り手市場と言われています。そんな中で20代での転職活動となり好条件が揃っていたはずですが、結果的には活動期間は足かけ2年半ほど。3桁の企業と団体を受験して全て採用見送りという状態でした。それも特段キャリアアップを望んでいたわけではなく、むしろ決して高くはない今のお給料から下がるところばかりを受けていての結果です。

 社内では後から転職活動を始めた先輩や後輩が次々去って行き、インターネットの交流範囲で仕事に苦しんでいた方々も続々やめていき、後続の人間のためにも自分が会社をやめる選択肢を示していかなければという目的も達成しすぎました。


 せっかくの退職エントリですので5年前今の会社に入社したところから始めますと、もともとビジネススキル的なものが圧倒的に不足していたことに加え、会社や仕事に合わず、いろいろあって入社した年の夏には始末書を作っていました。そもそも始末書のフォーマットが社内に存在しなかったため、インターネットで調べながら始末書を作成するこれは入社1年目にしてクリエイティブで責任の大きな仕事でした。

 そんなようなレベルの事件がたくさんあり、さすがに社内でも問題視され、3年目に入って人事異動があります。タイミングや異動先を考えると社内でも過去に例がない異動で、端的にあまりにできないので飛ばされました。

 元の部署では100のコストをかけて5の成果物しか作れず、ゴミのように扱われていましたが、異動先では100のコストをかければ20の成果が上げられるようになり、扱いもリサイクルできるゴミあたりまでランクアップしました。

 元の部署では半ばノイローゼ状態で、会社をやめるという発想も思い浮かびませんでしたが、仕事内容が変わって多少余裕もでき、なんとか「そうだ会社をやめよう」という気持ちを持つことができるようになりました。ここまでで2年半かかりました。

 今の部署にいる分にはなんとか半人前もとい3分の1人前としてやっていますが、会社全体の中では特殊な部署なので、ここから異動したり上司が変わったりすればまた悪くなるだろうという読みがあり(実際わりと人の入れ替わりが激しい部署でした)、またこの2年半の間に構築した社内の人間関係もすこぶる悪く、この会社組織からエクソダスしたいという想いもありました。

 あとはそういった諸々を取り除いて考えても単純に会社のことが好きではない。お給料もらう働くのビジネスライクな関係で捉えてもここで何十年も過ごすのは無理だろうという判断も働きました。

 転職活動をはじめて半年。ここまで書いたとおりの状況ですので当然うまくいっていませんでしたが、そんなときアニメ業界を舞台にしたアニメ『SHIROBAKO』に出会います。

 『SHIROBAKO』は自分にとって非常に重要な作品で、そのときから今でもぼくは「『SHIROBAKO』のおかげで会社をやめることができた」と言っています。結局実際にやめるのはそこから2年かかってますが。

 『SHIROBAKO』を観たことは自分の中で大きな転機となりました。
 それまでは既に書いたようなマイナスの要因、とにかく会社を脱出したいという想いが全てでしたが、『SHIROBAKO』でそれぞれの役割を担う仕事人と宮森姉を見ていて、積極的に世の中を良くしていきたいという風に想うようになりました。これは『SHIROBAKO』以降に観た他のいくつもの作品からも感じましたが、やはり「仕事」というストレートなテーマから、『SHIROBAKO』が最も強く、そして最初に届いたメッセージでした。

 またこの頃から『アイカツ』がアイドル活動をアイカツと言うのに倣って、退職活動をタイカツと呼び始めました。アイカツのアイドル活動が実に多様なように、タイカツも退職や転職に留まらず、より広い意味で生きること活きることを意味しています。そこには『SHIROBAKO』で学んだように、後ろ向きな退職活動ではなく、前向きなタイカツという想いが込められていました(※個人の造語です)。
 ちなみにあまりにタイカツが長引いてしまったためにその後、退魔活動をタイカツと言うアニメが出てきてしまいました。

 ここから『SHIROBAKO』が気持ちの上で大きな原動力となり、退職できて良かったねという展開を望んでいましたが、前半部は正しいものの、後半部の活動がうまくいかないどころではなく。春が来てまた春が来てもタイカツしてる人みたいになっていました。みたいではなく事実してました。

 理由はコミュニケーションスキル問題も多分にありますが、振り返るととても受からないようなところまで受けていたことが大きな原因かと考えています。

 自分自身が専門的で汎用できるようなキャリアを積んでおらず、経歴がいまいちだったためにマッチングがうまくいかなかったこと。にも関わらず興味の向く会社や仕事にエントリーしていたことが結果的には無駄な労力となり負担となって悪いサイクルに入っていたのだと、振り返るとそう思います。

 「受けてみるのは無料だから興味の向くところはとりあえず受けてみよう」とは新卒採用やキャリアアップを望むような人ならそれで良かったかもしれませんが、自分のように能力の低い転職活動ではマッチングがうまくいかないところまで受けるのは割に合わない。受けてみるのは確かに無料ですが、面接を受けるためには面接先に指定の時間に赴く必要があり、そのために仕事を無理して切り上げたことが翌日以降に影響して回り回って自分の負担となっていました。

 そんなこんなで2年間はけっこう大変でした。毎週面接を入れて土日はその準備。週末にお祈りメールをいただくという生活が何ヶ月も続き、世の転職活動者はこんな負担を強いられながらSNSに愚痴のひとつもこぼさずにやっているなんてどれだけ強靱な精神を持っているんだと驚くばかりでした。最近になって転職活動の平均期間が3ヶ月と知り、たった3ヶ月黙ってればいいならそれぼくでもできたしやってたわ……と思い直し評価を下げました。

 そんな長きにわたるタイカツもついに終わりを迎えます。今年度には異動が予定されており、もともと今の部署を出たら死ぬと考えていたために、今年度上期がリミットと見ていました(※精神的にはリミットもっと早く来ると思って急いで活動していましたが、既に述べた通り内定は出ず、また仕事も心を殺して働くことでなんとか生き延びていました)。

 さすがに2年半の経験値エントリーシートの書き方や面接での受け答えにも慣れ、先月には某社の1次面接を通過して最終選考を受けることができました。この2年半で1次面接通過は片手で数えられる程度しか経験していませんが、中でもわりと感触が良いところでした。

 と言う折に年度末の上司面談で異動の可能性が高いと示唆され、カウンタースペルとして退職意向を伝えました。ここまでのタイカツ状況とその時点で内定ゼロということを考慮すると、自分にしては相当思い切った行動だったと思います。

 そこからは年度の切り替わりで仕事が忙しく、面接を受ける時間が取れず、最終選考結果待ちしかできない状態でした。ところが2週間経過後も結果連絡がなく、いよいよ無職生活も視野に入れていたところでたまたま土日選考で面接1回のポジションを見つけ、そこを受けてなんか内定もらいました。その後、結果待ちしてた会社からお祈りメールをいただきました。


 以上が2年半にわたるタイカツになります。

 せっかくの退職エントリですのでこれからタイカツする方に何かアドバイスができればと考えていましたが、後からタイカツはじめた方々は既に退職・転職してしまい、既にアドバイスするような対象者がいなくなってしまいました。また正直これまで自分が学んだこと身につけたことが正しい自信が全くない(これをこうしたら内定が出たというような成功体験ではないので)ためにアドバイスするような内容もありません。

 それでも何か伝えられることがあるとすれば、『SHIROBAKO』を観なさい宮森姉を見なさいというのと、はじめの方に書いた受かる可能性のないところは受けるなという話は逃げるは恥だが意識低い転職活動には役に立つと思ってます。

 あとは受け続けていれば自分を見てくれる会社ばかりではないということ。自分を見てくれないとりあえずマンパワーがほしいような会社もあって、そういうところが意識低い転職活動ではむしろ狙い目です。自分を見て判断されたら落ちるに決まってるので、自分を見てくれないところを探していました。こればかりは募集要項からは読み取れないので、とにかく受け続けるしかありません。
 今の会社で得た内定も、震災で採用スケジュールが狂って急いでいたために人事が判断をミスしたことが原因と考えているので、まあ続けていればそういうこともあります。


 『探偵オペラ ミルキィホームズ』には「あきらめなければ必ず夢は叶う」という言葉があって、がんばっても探偵になれなかったことを指してあきらめなければ必ず夢は叶うなんて嘘ではないかと言うコーデリアに対し、シャーロックが「それはあきらめたからです!」と返し、「どんなにどんなに落ちぶれたって、自分は自分の目指す自分になれるんです! 自分がなりたい自分になれるんです!」と続けます。

 この「あきらめなければ必ず夢は叶う」を今回経験したと思っています。通常は3ヶ月で終わるようなことをその10倍の期間をかけて続けて、結果的に目標は達成できました。
 ただ、それだけのコストを他に回せばもっと他に大きなことができたはずですし、本当にあきらめずに夢が叶ったことが良かったとは言えないと思っています。それでも夢なんてものはそもそも自分の中の話で、客観的に最良の選択かどうかなんてことは問題ではなく、自分が納得できていればそれでよいものです。そういう意味で今回あきらめなくて夢が叶ったことは良いことだと納得していますし、あきらめないで夢を追い続けるとはそういう意味なのだなとひとつ学びになりました。

 今後については、新しい場所で弊社と同じような失敗を繰り返さないよう学んだり考えたり準備する所存です。それに伴ってあまりこのブログは動かなくなりそうですが、その点はご了承ください。


 タイカツ、完了です。いつも心の支えとなってくれたインターネット、ありがとうございました。またどこかで。